第269話 パイの活用法
すぃーーーっ、とっとっと、着地♪
着地と同時にパラシュートは収納に入れて、後から来るニィナを誘導する
「おーい、ニィナここだぞ~」
来た来た
相変わらずケイトは高い所が苦手なのか手で顔を覆っているけど、、、大丈夫そうだな
風魔法で勢いを抑えて、すぃーーーっと、無事着地♪
「ニィナお疲れ様、ケイト大丈夫か?」
「酷いよダンナァ(泣)」
「悪いとは思うけど山道を走るより、パラシュートでさっさと山を降りる方が速いし山賊にも合わなくて安全なんだよ」
「それは分かるけどぉ」
「晩御飯はすき焼きにするから機嫌直してくれよ、おまけでビーフカツも付けるから、それともカツ丼の方が良いか?」
「それじゃあハンバーグが乗ってるやつが良い」
「ロコモコ丼って事だな、了解!」
「おにいちゃん、早く町に行こうよ街道が近くても森の中にずっといるのは危険だよ」
「そうだな、いざ宿場町ケバルライへ!」
キャラバンシティを出発してから初日の目的地、宿場町ケバルライに行く為に山越えルートを選択した俺達は、時間短縮の為に山頂からパラシュートを使って一気に降りて来た
他人にパラシュートを見られると騒ぎになるし説明が面倒なので、着地点はケバルライの町から1キロほど手前の街道脇の森の中、そこにあった少し開けた場所だ
「ご主人さま~、くちゃい!」
なっ、なんだと?!
パラシュートで降りる時には、俺の前にメリルとカスミ、背中にスミレというポジションで今も俺はスミレをおんぶしたままなのだが
そのスミレが臭いだと?!
加齢臭は首とか耳の裏側から臭うとか聞いた事がある、本当かどうかは知らんけど毎日丁寧に洗っているというのに臭いのか(悲)
「主様、魔物の気配です!」
マジか、この世界に転生してから今まで運良く魔物に出会わなかったのについに魔物と初対面するのかよ!
「ダンナ、パイだ!」
「パイ?」
ケイトが指差した方向を見ると、そこには鮮やかな緑の斑模様をした長さ約1メートル、太さ約50センチのナメクジみたいなヌメッとした奴が口から液体を撒きながらこちらに近づいて来る、
キモいっ!
そして臭い!
臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭いーー!!
風向きが変わったせいか超臭い、臭い原因はアイツだったか(怒)
だがこの匂いは危険だ、頭がクラクラする
風魔法発動!
『ビュォーーーーーーー!』
よし!とりあえず匂いは向こうへ行ったか
「メリルとカスミは俺の後ろにおいで」
「うん」「はい!」
「主様あれは、パイナン・テターベルモ・ンジャネー、と言う臭い匂いで獲物を気絶させて補食する危険な魔物です。」
「なに?!あれがアルも嫌がるパイか。しかしあんなに臭いと獲物も気付いて逃げるだろ」
「アイツも獲物を狙う時は臭い液体は吐かずにコッソリ近付くんだけど、今はわざと匂いを出して敵を寄せ付けないようにしてるんだ、あたしらが急に空から来たせいで、お互い不測の事態ってやつだね。」
「なるほどな、だとすれば今こそ浮島で手に入れたハミングバードの剣の威力を試す時だ!ケイト、やっておしまいなさい」
「無理無理無理無理、ダンナ無理だから(汗)あいつ物理攻撃はあんまり効かないんだよ、魔法耐性も高いしパイを倒そうと思う奴なんてよっぽどの物好きだよ
だからさっさと逃げようよぉ!」
マジか!
確認の為にニィナを見るけど、お手上げか。剣が駄目なら警棒も効かないだろうな
だがしかし、
そんなに危険な奴なら尚更倒す方法は知っておかなければならん、これからも不意に遭遇する可能性はあるんだからな
幸いにも移動速度が遅いから、不意に遭遇しても一定の距離があれば逃げるのは簡単らしいし
何よりも、あんなにナメクジに似てるなら是非試しておきたい方法もある♪
「ケイト、ニィナ、少しの間パイが近付かないようにしてくれ」
「ちょっ、ダンナ?!無茶言わないでよぉ(泣)」
「承知!」
さてと、ナメクジと言ったら塩だろ
塩を振りかけられるくらいパイに近付くのはちょっと無理だからどうするか、、、
よし!
塩に卵白を少し加えて混ぜてから、ギュッと固めれば、塩団子の完成♪
余った卵黄は晩御飯の時に使うからちゃんと収納にしまってと
「ケイト、この塩団子をパイに投げてくれ」
「投げるのは良いけど、こんなんで倒せるの?」
「駄目なら逃げるだけだな」
「それじゃあさっさと投げて逃げよう、ふんっ!」
『バシャッ』
「ナイスコントロール!卵白のお陰で良い感じに塩がパイの身体に張り付いたな、効いてるか?」
「主様、パイが苦しんでるように見えます。それに縮んでる?」
ニィナが言うように徐々にパイが縮んで来ている、ナメクジ同様に塩が弱点だったか
「塩団子をどんどん投げて息の根を止めよう」
「ふんっ!ふんっ!ふんっ!」
『バシャッ、バシャッ、バシャッ』
全身が塩まみれになったパイは1/3くらいの大きさに縮んで動かなくなった
「死んだか?」
「もう大丈夫だよ、それにしてもパイが塩に弱かったなんてなぁ」
「パイが魔物なら魔石はあるかな?」
「うーん、あたしもパイを倒したのは初めてだから分かんないけど、、、魔石は無さそうだね、でもパイの身体は素材として冒険者ギルドで買い取ってくれるよ」
「パイの身体かぁ~、どれどれ」
生きてる時はヌメヌメでプルンとした感じだったけど、塩の効果で水分が抜けたからか固いゴムみたいだな
『ボフッ、ボフッ』
木で叩いてみても衝撃を吸収して手に振動が全く伝わって来ない。薄く切って靴の中敷きにしたら良さそうだな
っていうかこれで自転車のタイヤ作れば良いんじゃね?
パイも塩で簡単に倒せる事が分かったし、これはガゼル親方に良いお土産が出来たぜ♪
「おにいちゃん、パイをどうするかは後で考えて早く森を抜けようよ!」
「そうだったな、こんな危険な森でゆっくりしてる場合じゃない、さっさと宿場町ケバルライに行くぞ!」
「「「「「おー!」」」」」
つづく。
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