第258話 ベラドンナ・ステッツェン その2

今日の朝食は


ジャンバラヤ、だし巻き玉子、豆腐の味噌汁


ニィナ特製、大根とナスのぬか漬け



相変わらずお藤お母さんは元世界の外国の料理をよく作ってくれる


ジャンバラヤは『ケイジャン料理』らしいのだけど、、、パエリアっぽい炊き込みご飯で凄く美味しかったです♪


アルも加えて我が家のみんなと一緒に朝食を食べ終えたら


俺とニィナはいつものように自転車に2人乗りして、ベラドンナ・ステッツェンという有名人が待つ商会に向かう。



『チリンチリン♪』


「シンさーん!少し速度を落としてくださーい(汗)」



後から付いて来るアルには3輪タイプの自転車を貸してみたんだけど、思いのほか速く進むから驚いているみたいだ。


自転車も販売して欲しいっていう問い合わせは来てるんだよな


俺が個人的に売るならスキルの「店」で自転車を購入すれば済む話だけど、出来れば魔法を使わない技術はどんどん広めて行きたい。


自転車の仕組みはそこまで複雑じゃないから、ガゼル親方やジャックおじいちゃんなら作るのは難しくないだろう


元世界でも木でフレームを作ったレース用の木製ロードバイクはあったと思うんだよな、木のしなりが良い感じに衝撃を吸収するとかで研究されてたと思う。


木製ならドワーフ以外の職人でも作れる気がするし、流行り物好きな貴族や富裕層に高値で売りつければ良い♪



しかし『ブレーキ』『チェーン』『ゴムチューブ』が問題だよなぁ


ブレーキは動物の皮か何かを車輪に押し付けるだけの単純なのにすれば行けそうだけど


チェーンはパーツが細か過ぎて無理っぽいから、明治時代にあった自転車みたいに、ペダルを直で前輪に付けるか?


チェーンが無理ならベルト方式にしたら出来そうだし


残るはゴムチューブだけど、そもそもゴムって何?


ゴムの木があるのは知ってるけど作り方はさっぱり分からん、専用の機械が必要だとどうにも出来ないんだよなぁ


いっその事ゴムチューブを使わないノーパンクタイヤみたいな物を作る方が現実的か?


魔物の素材でゴムの代わりになるような物を探してみるか


おっと!


考え事をしてたらあっという間に商会に到着だ



「おーい、ちゃんとブレーキかけろよ~」


「はっ、はい!『シューー』っと、ふぅ~(汗)以前からシンさんが自転車に乗っている所は拝見していましたが、実際に乗るとなかなか快適な物なのですねぇ♪」


「アルも初めて自転車に乗るわりには上手くブレーキを使うじゃないか、慣れてないと急ブレーキかけちゃって危ないんだよ」


「確かにブレーキは少し慣れが必要ですね。


それにしても自転車という物は、自分の足を使って進むという性質上、もっと疲れる乗り物かと思っていたのですが、まったく疲れませんね


街の中を移動するなら馬より断然自転車の方が快適です!」


「快適なのは整備されてる平坦な所限定だけどな、坂道になると急にキツくなるから」


「そうなのですか?しかしながら今まで自転車の素晴らしさに気付かなかった馬鹿な私をお許し下さい。女神様にも今すぐ許しを請」「女神様ネタはもうええっちゅーねん!」


「うーむ、シンさんの言う『ネタ』が未だに何なのか分からないのですが、私ごときの為に女神様の御手を煩わせるのも失礼にあたりますね。


今まで以上に池田屋商会の為に尽力する事で、許しを請う代わりにしたいと思います。」



面倒な男はいったい何を目指して生きているのだろうか?


池田屋商会の為に頑張ってくれるのは良いけど、たまに暴走するアルを止めてくれる強い嫁さんを真剣に探すべきなのかもしれない。



「今はここで話し込んでる場合じゃないんだよ、ベラドンナ様を待たせてるんだから」


「そうでしたね、では参りましょう!」



『コンコン、ガチャ』


「お待たせしましたベラドンナ様、会長のシンさんが来られました。」


「はじめましてベラドンナ様、私が池田屋商会会長のシン・ナガクラと申します。っていうかベス?!」


「そうだけど、あんたにゃ私が他の誰かに見えてるのかい?(笑)」



ベラドンナ・ステッツェンが待つ商会の応接室に来たのだが、そこに居たのはスラム街を仕切ってるベスだった


以前に会ったのは、製作を依頼していたリバーシの駒を受け取った時だから、雨季以来か


ベスの本名がベラドンナ・ステッツェンという事なのだろうけど、商業ギルドの幹部なら知っていて当然の有名人には思えんが


毎度の事ながら、トラブルの予感がするぅーー(泣)


だがしかし、俺も慣れて来たんだぜ!



「ここにはベラドンナ様が居るって聞いて来たんだけど、ベラドンナ様と言えば商業ギルドじゃ有名人らしいじゃないか、ベラドンナ様がこんなに」「分かったから止めな!」


「どうしたんだ、ベ・ラ・ド・ン・ナ・様♪」


「あんたにこれ以上ベラドンナ様なんて呼ばれたら悪夢にうなされそうだよ!」



ふっふっふっ、ベラドンナ様がスラム街を仕切ってるベスだとは思わんかったが、絶体トラブルを持って来てるやろうから嫌がらせで言ってみたんやけど


それなりに効果はあったみたいやな♪


何の用で商会に来たのか知らんが、ベラドンナ様から話を聞きますか






つづく。


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