第248話 キャラバンシティ幹部会合 その3

キャラバンシティは夏真盛り、でもそこまで気温は高くない、昼間の1番暑い時間でもギリギリ30℃に届く程度


加えて湿度も低いから俺にはかなり快適な夏だ♪



日本では湿度が高く肌にまとわりつくような異常な暑さを経験してるから、余計に快適に感じるのかもしれん


我が家のみんなは夏の暑さに少しウンザリしてる感じがするしな




日が暮れて涼しくなった頃、アストレア様に呼び出されて先日開店した『お食事処リリー』に来ている


集まったメンバーは


アストレア様


オリビエさん


ミリーさん


女将さん


メリル


ニィナ


今日は珍しくスージィーとイセガミさんも来ていて、忘れちゃいけないフェンリルのリリーも居る


店名にリリーの名前を使ってるからお礼も兼ねて存分に料理を食べて欲しい、まあ既に俺の足元でガツガツ食べてるけどな(笑)



そして幹部会合にはあまり呼ばれない、ジャックおじいちゃんとガゼル親方もアストレア様に呼ばれて来ている


『流行り病予防大作戦』の途中経過を伝える為らしい



話し合う前に、既に会合には必須になっている本日のお酒と料理は、スキルの「店」で見つけた地ビールフェアのコーナーから、地ビール各種と


ピスケス領で米から造られた澄んだお酒の2種類。



続いて本日の料理は、焼き鳥、ホルモン串、モツ鍋


お食事処リリーの開店初日の店内には、たこ焼き器と鉄板しか置いてなかったけど、今日は鉄板が取り外されて代わりに焼き鳥を焼く台が設置してあり


スージィーとイセガミさんが焼き鳥とホルモン串を焼いている。


相変わらずギャルっぽい見た目のスージィーはこういうのがよく似合うと思うのは、俺がおっさんだからだろうか?



それはさておき、会合に出席している皆さんの目の前には1人用の小さい土鍋で作られたモツ鍋が置かれている


今は夏だけど夜は程よくヒンヤリと涼しいから、よ~く冷やした酒を飲みながら熱々のモツ鍋を食べるのも良い♪


少し前にイセガミさんからホルモン料理のレシピ登録を提案されてたんだけど


俺はホルモン料理に詳しく無いし、モツ鍋も美味しそうだなと思ってはいたけど、ついに食べる事なくこっちに転生しちゃったし


だからホルモンについてはイセガミさんにお任せだ。


ちなみに、今のところイセガミさんの元世界の知識で役に立つ物はあまり無い、あえて言うならホルモン料理くらい


何かしらの専門知識を期待してたんだけど、それは贅沢という物だろう。


それに出会った当初は元世界に帰れない事に相当なショックを受けていたから、あまり詳しく聞くのは躊躇われる


俺としてはこちらの世界に馴染んで元気に過ごしてくれてるならそれで良い、料理は普通に出来るから


もし俺が居なくなったとしても料理人として生きて行けるだろう。



さてさて、焼き鳥とホルモン串も焼けたみたいだし会合を始めますか



「皆さん、本日は我がピスケス領で米から造っているお酒をお持ちしました、シンさんのお酒程ではありませんが自信作です、どうぞ御賞味下さい。」


「ではいただきます、んぐんぐんぐ、、おお!これはなかなかのクオリティ♪」



以前ピスケス領で造られた酒と比べると、紙パックの特売品の酒から瓶詰めの酒になったくらいの違いはあるかもしれない



「どうかしらシンさん、まだまだ改良の余地はあるけれど良い出来だと思うのよ」


「ええ、これは素晴らしいです!まさか短期間でここまでの味になるとは思いませんでしたよ」


「ふふっ、これもシンさんのアドバイスのお陰ね。」


「アストレア様!このお酒の優先購入権を是非我らドワーフに!」


「うふふ、オリビエさんに味を認められたのなら自信を持っても良さそうね♪売るのは良いけれど、オリビエさんが造ってるワインと交換でどうかしら?」


「喜んで♪」


『ガシッ!』



オリビエさんは相変わらず酒の事になると決断が早いな(笑)



「さて本題に入りましょうか、流行り病はシンさんのお陰で多少気分が悪くなった人が数名出ただけで抑えられてます。」


「シン君の言った通りこまめに水分補給をするだけでも流行り病の予防効果は凄いわ、今のところ亡くなった人もいないし


だけど予防薬はそれなりに材料費もかかってるから、池田屋商会だけに負担を強いてるのは心苦しいのよ」


「構いませんよ、ただでさえウチは儲け過ぎて妬まれてますから。少なくない出費をする事で周囲の人達のガス抜きが出来れば充分です。」


「さすがシンさん抜け目が無いわね、そして流行り病の予防効果を知れば街の有力者達は焦るでしょうね


街の住人からは池田屋商会に面倒事を押し付けて高みの見物をしていたと思われるでしょうから。この際だから街の勢力図も変えちゃいましょうか♪」


「そうですか、アハハハ」




おぅふ(汗)


なんだかアストレア様がとても素敵な笑顔でいらっしゃる、これでもかってくらいに輝いておられる



俺は街の有力者に1ミリも興味無いから、面倒な事はいつものようにアストレア様にお任せして


ホルモン串を堪能しよう♪






つづく。


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