第235話 雨季7日目~8日目

《雨季7日目》



「あたしは男が嫌いだ!男なんて、、ひぃっ?!バタン・・・」



「主様、この者達の処遇は任せて頂けませんか?」


「良いけど、何か考えでもあるの?」


「はい、以前から計画していた見廻組二番隊の隊員候補にちょうど良いかと」


「なるほど、それじゃあ任せるから鍛えてあげて」


「お任せを♪では皆さん参りましょうか」


「「「「「はい(汗)」」」」」



ふぃ~、疲れたぜ


商会で俺に会わせろってゴネてる女性の集団が居るからって連絡を貰い来てみたら、コレだもんなぁ


女性達の目的自体は凄く単純だ、会長の俺に商会で雇って欲しいと言いに来たんだ


まぁリーダー格の女が暴言を吐いたせいでニィナが殺気を飛ばして気絶してしまったんだけど、そのお陰で他の女性達が大人しくなったから結果オーライだ♪



女性達の見た目から他の街で娼婦か、奴隷以下の扱いで下働きでもしてたんだろうと思う、そして客の男とか雇い主から酷い扱いを受けてたんじゃなかろうか?


この国は平民の女性の扱いが酷いからな、男を嫌いになるのも当然だ


ニィナに任せておけば、下心しかない男を殴り飛ばすくらいは簡単に出来るようになるだろうから、これから受ける訓練も彼女達の良い思い出になるだろう♪




ーーーーーーーーーーーーーーーー



《雨季8日目》



「きゃーーー!」


「あら大変、シンさーん緊急事態よぉー」



むむっ?!


我が家のリビングでみんなと午後のティータイムを楽しんでいたら、厨房からミリーさんの悲鳴とお藤お母さんが俺を呼ぶ声が聞こえる


もしかして強盗でも来たのかと思ったけど、フェンリルのリリーが鼻の頭にカスタードクリームを付けながらシュークリームを美味しそうに食べているという事は



「わふぅ?」



俺の視線に気付いたリリーが『顔に何か付いてるの?』と言いたげに首をかしげている。


まぁ鼻にカスタードクリームが付いているんだけどな(笑)


今ここに居るリリー、ニィナ、ケイトの気配察知が反応していないなら、強盗とかそっち系の緊急事態は無い


じゃあ何だ?



「主様、お母さんの声にそれほど焦りや緊張を感じませんが急ぎましょう。」


「おっ、おう!」



ニィナに促されて厨房に行くとそこにはミリーさんとお藤お母さんが居たんだけど、、、



「シンさん、驚くのはしょうがないけど早めに何とかしてくれると嬉しいわね」



のんびりしたお藤お母さんの口調に騙されそうになるけど、今現在厨房で起こっている事は1秒も無駄に出来ない!


俺は顔面蒼白のミリーさんに回復魔法を使う



「ふぅー、全力回復魔法発動!」



はっきり言って全力で回復魔法を発動させる事に意味があるのかは分からん、俺の回復魔法は傷が治るように念じて魔法を使えば良いだけだから


それでも今の俺の精神状態では冷静に魔法を使える気がしないので、全力という力任せに頼ったんだけど上手く行ったみたいだ。


厨房の流しがミリーさんの血でとんでもない事になっているけどな



「はぁ~、助かったぁ、シン君ありがとう(泣)」


「どういたしまして。えっと、お母さん何があったの?」


「それがねぇ、ミリーちゃんに浅漬けを教えてたのよ、最初は比較的切りやすそうなキュウリを使ってね。それでミリーちゃんにキュウリを切って貰おうとしたら、何故か手首をサクッとやっちゃって」



またまたお藤お母さんののんびりした口調に騙されそうになるけど、俺が厨房に来た時はこっちが貧血で倒れそうになるくらいには大変な状況だったよ(汗)


大変な状況だからこそ、深刻な顔で助けを求められたら逆にこっちがパニックになっていたかもしれんから結果的には良かったけど


とりあえずミリーさんにはこの後事情聴取が必要だな!






つづく。

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