第234話 焼き飯

ミリーさんに栄養について学んで貰う為に、栄養素の一覧が載ってる本を渡して暇になったので、俺は1人で昼食の準備中。



ジメジメした雨季を乗り切る為にメニューは『カツ丼』にしよう♪


カツを食べて雨季に勝つってな(笑)



俺が思う一般的な『カツ丼』と言えば、トンカツを出汁で煮て卵でとじた『カツ煮』が乗ってるやつなんだけど


『ソースカツ丼』『たれカツ丼』『デミカツ丼』『みそカツ丼』等々


地域別だと意外にも卵でとじるカツ丼って少数派っぽいんだよなぁ


やっぱり関西は出汁文化だから『カツ煮』なのかな?



カツ丼の成り立ちはいったん横に置いといて、これだけ種類があるなら全部作ってみんなでシェアして食べたい!


幸いにもスキルの「店」には各種ソースやタレの品揃えは豊富だから、全種類作る事が出来る♪


れっつクッキン



『コンコンコン』



むむっ!


誰かが我が家の扉をノックしているけれど、雨季真最中なのに訪ねて来るのは商会の従業員くらいだろう


何か緊急の用件かな?



「はーい、今開けますよーっと、、、ガチャ、いらっしゃいま、、せ?!アストレア様!」


「シンさん、こんにちは♪」


「えっと、雨季なのにアストレア様がわざわざ来られたという事は何かあったんですか?」


「ふふっ、雨季はする事も無くて暇だから来ちゃった♪」



あぁ~


アストレア様の後ろに控えているメイドのシンシアさんが、申し訳無さそうにこっちを見ているという事は


アストレア様はマジで暇だったんだろうなぁ(笑)


雨のせいで街道には水溜りだったり、ぬかるみが出来てて危険だからキャラバンシティから移動出来無いからな



「そういう事でしたらお昼ご飯を一緒に食べましょう。今日のお昼はとても庶民的な料理なので貴族向けでは無いですけど」


「シンさんの家に来て貴族向けの料理を出されたら、私は泣いてしまうわよ(笑)」


「そもそも貴族向けの料理なんて作れませんけどね。直ぐに作るんでリビングで待っていて下さい。」


「はーい♪」



うーむ


素敵な笑顔で返事をするアストレア様だけど、我が家に馴染み過ぎてるのは貴族として良いんだろうか?



「シンく~ん、甘~いお菓子食べたい~、、、あれ?アストレア様じゃないですか、いらっしゃいませ」


「ミリアリアも来てたのね、それにしてもあなた凄く疲れた顔をしてるけど大丈夫?」


「大丈夫じゃないです!栄養素が40もあるんですよ、40も!40の魔王が連携して私達の体を健康にしようと侵略して来るんですよぉ~(泣)」


「言ってる意味は分からないけれど、健康にしてくれるならそれは遊軍じゃないの?」


「・・・あ゛っ!」



疲労で思考回路がショートしてるミリーさんはアストレア様に任せるとして、カツ丼の他にはデザートにチョコレートパフェでも作るか


ミリーさんには糖分補給が必須なようだからな(笑)





ーーーーーーーーーーーーーー



『トン、、トン、、トン、、トン』


「ねぇダンナ、そんなに心配しなくても大丈夫だって、スミレにはあたしがナイフの扱い方をきっちり教えたんだから♪」


「じゃあケイトはどうして料理が苦手なんだ?」


「そっ、それは、野菜相手に全力は出せないから(汗)」


「確かに、ケイトが全力で野菜を切ったらまな板が幾つあっても足りんな(笑)」


「うぅ~、だからあたしは料理しないじゃんかぁ~(泣)」


「分かったから泣くなよケイト」


「うん」



アストレア様がお昼ご飯の『カツ丼』を堪能してご機嫌に帰って行ったあと


夕食はスミレが作ってくれると言うので、俺は我が家の厨房で料理をしているスミレを全力で見守っている!


万が一にも包丁で指を切ったりしたら即回復魔法で治せるようにだ!


まぁケイトの言うように俺は心配し過ぎなんだろうなという自覚はある


スミレの隣でお藤お母さんが見守ってるし、指を切らないようにフィンガーガードも装着させている。


何よりも包丁を持つスミレの手は、スピードは遅いけどとてもリズミカルに野菜を切っているから心配など無用だろう♪



『ジューーーーーーー』



どうやら食材を切り終えて炒め始めたみたいだ


ちなみにスミレが楽しみにしててと言うので何を作っているのかは知らないのだが、既にめっちゃ良い匂いがするんですけどぉー♪



「ご主人さまー、出来たー!」


「おおっ!めっちゃ美味しそうやん、焼き飯で良いんかな?」


「うん♪」



少し迷ったけどスミレが作ったのはチャーハンでは無く『焼き飯』で正解だったか


しかし、焼き飯の上に乗ってる厚切りのでっかいチャーシューの存在感が凄い!


チャーシューは単純にスミレが食べたかっただけやろうなぁ(笑)



「いただきまーす。あーんっ、もぐもぐもぐもぐ、、、旨ぁーい!スミレありがとうなぁ」


「えへへ~♪」


「うふふ、スミレちゃんも料理が出来るようなってお母さん嬉しいわぁ♪ミリーちゃんにも料理を教えてあげるから楽しみにしててね」


「え゛っ?!」



ふふっ


お藤マーマに料理を教えて貰える事にミリーさんは照れてるのか、凄く変なリアクションをしちゃってるよ(笑)


さてと


俺はスミレの作ってくれた焼き飯のおかわりをしようっと♪






つづく。

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