第230話 アストレア様といつものなんやかんや
やって来ましたキャラバンシティ旧領主邸
現在は領主代行のアストレア様の宿泊施設として利用されている。
たまに庭を使って俺のおでん屋で会合を開いたりしてるんだけど、こんな立派なお屋敷があるんだからわざわざおでん屋のテントで会合をしなくてもいいと思う
立派なお屋敷でおでんを食べても、なんか美味しくなさそうだから良いけどさ。
それで、アストレア様に会いに旧領主邸に来たのは良いけど、当然ながら屋敷の周辺は厳重な警備がされていてメチャメチャ近寄り難い
こういう時の手続き?と言うのかアストレア様に取り次いで貰う方法とか、俺は全然知らないんだけど、、、
俺の心配をよそに、アルが警備兵に何か話してると思ったらあっさり門を通されて、メイドのシンシアさんにアストレア様の居る部屋に案内されてます。
さすが優秀な男めっちゃスムーズやな♪
コンコン、ガチャ
「失礼します。アストレア様、皆様をお連れしました。」
「ご苦労様シンシア。あら?今日はなんだか珍しい組み合わせね
でも、ちょうどシンさんとお話したかったから嬉しいわぁ♪さあさあ、座ってちょうだい、シンさんは私の隣よ♪」
部屋に入るとテーブルには既にお茶が用意されていて準備万端なのはまあ良い、どうしても気になるのは俺が座るべきと思われる場所だ
アストレア様は1人で座るには充分過ぎる程に大きくゆったりした、座り心地がとても良さそうな立派なソファに座っていらっしゃるのだが
どう考えても1人用であり2人で並んで座るソファには見えない、しかしアストレア様の前のテーブルにはティーカップが2つ、、、
「私の席はアストレア様の『隣』で良いんですよね?」
「勿論、遠慮は無用よ♪」
「・・・では失礼します。」
ムニッ♪
「あの、アストレア様、この椅子は2人で座る物ではないと思うのですが、それに距離も凄く近いですし」
「そんな事はないわよ、私はまだまだシンさんとの心の距離は遠いと思ってるんだもの」
いやいやいや、俺が言うたんは物理的な距離の方なんやけど(汗)
メリルとニィナが見てみぬフリをしてるのは良いけど、アルがニヤニヤしてるのがなぁ
これは後でまたイジられるパターンやん(悲)
「それで、雨季にも関わらずシンさんがわざわざ私に会いに来てくれたのは、新作のお菓子を試食する為では無いのでしょ?」
「はい、実は先日ミリーさんが流行り病で倒れてしまいまして、今は回復しているのですが、これは早急に対処法を広める必要があると思い、アストレア様に相談に来たという訳です。」
「あらあらあら♪シンさんは病にも詳しいのかしら?」
「いえ、今回の流行り病の原因と対処法が、たまたま私の故郷では既に発見されていただけですので、詳しい事はアルから聞いて貰った方が早いです。」
「アストレア様、ここからは私アルヴェロヴェールが御説明させて頂きます。
今回の流行り病の原因と対処法をシンさんの意向も踏まえまして
かくかくしかじか、いってぞんかくがわりで、ひしゃひしゃけいきょう、、、、、、
という感じで今後はやって行きたいと思うのですが、いかがでしょうか?」
「それで結構よ、無償公開は少し勿体無いけれどこちら側の力を示すには充分過ぎるくらいね」
「では、私はさっそく準備に取りかかります。という訳なのでシンさん、私はひと足早く失礼させて頂きますね。」
「おっ、おう」
むむむ
今のアストレア様とアルのやり取りはいったい、、、
内容は多分俺の考えていた事とほぼ同じで、流行り病の原因と対処法等々を無償公開して王国中に広めるんだろうけど
まったくもって解読不能のやりとりだった、もしかして魔法による盗聴対策とかだったりするのだろうか?
「ねぇ、シンさんの用件は流行り病の事だけなのかしら?」
「おっと、忘れる所でしたアストレア様にプレゼントがあるんですよ、ここに出して宜しいですか?」
「勿論♪」
「では、よいしょっと」
収納からアストレア様にプレゼントする為に用意していた新品の電動アシスト付き自転車を取り出す
「あらあら、シンさんとニィナさんがこれに乗って移動してるのを見た事があるけれど、車輪が2個なのに倒れないからいつも不思議に思っていたのよ」
「私も乗ってて何故倒れないのか未だに不思議なんですけどね(笑)
乗ると分かるんですけど、馬を乗りこなすよりは簡単に乗れるんですよ。
今は部屋が狭いので出してないですけど、これに座席を乗せた荷台を取り付ける事が出来ます。
そしてこの自転車は特殊な魔道具のチカラで走りを補助しますので、正午にキャラバンシティを出発して日暮れまでにピスケス領に着く事も可能です。
これでアストレア様の移動中の安全と快適性が向上すると、、、?」
ぎゅぅぅ♪
「ん?む゛ぅぅぅ!!」
「もう、これだから私はシンさんの事が大好きで抱き締めずにはいられないの♪」
あぁ~
顔に押し付けられてる柔らかいアストレア様のお胸の感触も久しぶりやなぁ
そして今日はいつもより綺麗な花畑が見える気がする~
久方の
感触の向こうの花畑
息も絶え絶え無の境地
今日を限りの命、、、
だったとしても一片の悔い無し!
シン・ナガクラ、心の詩
つづく。
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