第179話 キャラバンシティ幹部会合

「ガハハハハハ!お前さん次は浮島に行くんか、お前さんなら当たり前のように行って帰ってくるじゃろうから驚きも心配も無いが、次から次にやる事を見付けて来て感心するぞ、ワハハハハハ♪」


「浮島ですからね、男なら1度は夢見る憧れの場所じゃないですか!」


「そうか、お前さんも普通の夢を持っとったんじゃな(笑)ワシももう少し若ければ付いて行くんじゃが、土産を楽しみにしとるぞ♪」


「任せて下さい!」



「浮島の事はいいんじゃが、、、ワシはこの場におって大丈夫か?」


「問題は無いと思いますけど、親方もそういうの気にするんですね」


「当たり前じゃろう、これだけの面子が揃えばワシとて気を使う


それに男は女に支えて貰わねば生きて行けんのじゃからな、余計な事をして機嫌を損ねたくは無い


女というのは神経が図太く見えるが、男には分からん繊細な所が多いからな、気を使うのは当然じゃ!


人族の貴族はそこら辺が分かっとらんみたいじゃが、お前さんは大丈夫か?」



「それなら今は努力中ってところですね、我が家のみんなとはちゃんと話をするようにはしてますけど、相手の事を理解するにはまだまだ時間がかかりそうです。


仕事の方もみんなが支えてくれてるから自由に出来てるのは分かってますよ


俺にとっては支えるとか関係無く、我が家のみんなは大切な存在ですしね」


「うむ、分かっとるなら良い」




急に真面目な顔になって、周りに聞こえないように俺に向かってヒソヒソ話し出したガゼル親方


その気持ちは、よーく分かります。





ここはキャラバンシティの前領主邸の裏庭


今は無人で使われていないけど城壁並に頑丈な塀に囲まれているので一般人は入って来れない


誰にも邪魔されたく無いって事でこの場所が選ばれて、テントを建てておでん屋を開店している


今日に限ってはおでん以外の料理やスイーツも取り揃えた


商業ギルドでミリーさんに浮島に行く事を報告したら、何故かおでん屋を開店する事になっていて


アストレア様


オリビエさん


ミリーさん


女将さん


メリル


ニィナ


というメンバーが揃ってしまった、誰が言い始めたのか定かでは無いけれど、上記のメンバーが集まる事を


『キャラバンシティ幹部会合』とウチの従業員達は呼んでいる


メリルも池田屋商会の副会長として、こういう場所にも付いて来るようになったけど、自分から意見を言うのはまだまだ無理みたいで話を聞きながら静かにお酒を飲んでいる


このメンバーに最初から意見を言えたら恐いけどな(笑)



メリルも成人してからお酒を飲むようになった、日本酒は苦手みたいだけどワインは気に入ったらしく、女将さんとケイトと一緒に飲んでるのをよく見かける



そんなメンバーが楽しくお喋りしている隅っこで、俺とガゼル親方は静かに日本酒の熱燗を飲んでいる


親方の言う通りこれだけのメンバーがそろえば気を使って当然か






「シンさん、そんな隅で飲んでいたらお話が出来ないわ、こっちにいらっしゃいよ」


「はっ、はい!」



アストレア様に呼ばれた俺は急いで皆さんが並んで座っているカウンター席の前に行く


アストレア様がキャラバンシティ来るのは久し振りだ、美容品や下着を使って貴族の面倒くさい、なんやかんやをしているせいだけど


更にドレスとコサージュが加わった事で、目の上のたんこぶ的なクソババアを排除出来たらしく、今日のアストレア様はとてもご機嫌だ、後顧の憂いが無くなったせいかお肌もツヤツヤだからな♪





「それで、シンさんが浮島に行くという事はまたしばらく会えなくなるのねぇ、寂しくなっちゃうわ」


「アストレア様、今回は2~3日程度で帰る予定なのでまた直ぐ会えますよ」


「あらそうなの?浮島って案外簡単に行けるのね♪お土産お願いしようかしら」


「それ良いですね♪私も行った事無いですから、シン君お土産よろしく~♪」




既にほろ酔いのミリーさんは放っておいて、お土産お願いされてもなぁ、浮島にお手頃なお土産あるかな?


ちーちゃんさんは景品を用意しておくって言ってたけど、もし『パジ○ロ』だったらどうしよう(汗)


今の俺には『パ○ェロ』より『たわし』の方が実用性があって嬉しい。





「私は浮島には興味無いけど、浮島に行く方法は凄く気になるわ!」


「大丈夫ですよオリビエさん、浮島から帰って来たらゆっくり教えますから」


「ふふふ、シンさんと居ると楽しい事がどんどん増えるから嬉しいわぁ


そういえば、浮島にはニィナさんと行くのかしら?」


「ええ、ここに居るメリルとニィナを含めて我が家のみんなで行く予定です。」



「あはははははは、そりゃあ楽しそうで良いねぇ♪あんたのやる事だ、帰りはドラゴンに乗って帰って来ても驚かないよ(笑)」




何故か女将さんに爆笑されてるけど、ドラゴンなどと恐ろしい事は言わないで欲しいよ、完全に旗が建つやつやん!




「あらあらまあまあ♪ドラゴンなら王都のバカ貴族が腰を抜かすから、是非連れて来て欲しいわぁ」




おぅふ(汗)


アストレア様も冗談っぽく言ってるけど、8割くらいは本気で言ってるからなぁ


残りの2割はドラゴンと同じくらいインパクトのある何かを期待してるんだもの



まあドラゴンは置いといて、皆さんが驚く土産のひとつくらいはあるだろう



いざ浮島へ!






つづく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る