第156話 子爵の視察
朝、目が覚めると
っ?!
ふぅ、危なかった、もう少しで声が出るところだった(汗)
いつものように隣で寝ているカスミのうさぎ耳を愛でようと思ったら、ニィナの顔が目の前にあるんだもの
昨日は珍しくニィナが俺の隣で寝たいっていう雰囲気をガンガンに出していたから、全員の寝る位置を変えたのをすっかり忘れてたよ
相変わらずスミレは俺の隣で寝ているけど、カスミはお藤さんに抱きしめられて寝ている
お藤さんもカスミとスミレを本当の娘のように可愛がっているから、存分に母の温もりを味わうが良い♪
さてと、そろそろ起きるかな
「スミレ、朝だよぉ~」
「うにゅ~、、、おはようごじゃれましゅ」
「はい、スミレおはよう。ほらおいで」
「あい」
今朝もいつものようにスミレを抱っこする、次は
『ペチペチ』
「ケイト朝だぞー、それと腹を出して寝るんじゃありません」
「・・・ふぇ?」
今日もケイトの腹をペチペチ叩いて起こすが、ケイトは腹が冷えるって事は無いのだろうか?
「メリルも起きろ~」
「ん~」
次!
「ニィナおはよう」
「主様、おはようございます。」
「カスミおはよう。お藤さんもおはようございます。」
「ご主人様、おはようございます!」
「シンさんおはよう」
さて、今日は俺が朝食当番だ、と言っても昨夜のうちに準備しておいたから並べるだけだけどな
メニューは、太巻き寿司、豚カツ巻き寿司、鉄火巻き、茶碗蒸しだ
茶碗蒸しにはメルルーサで作った蒲鉾を入れている、手作りだから食感がイマイチなんだけど、魚肉団子だと思えばなかなか旨い♪
『ドンドン!』
「シン殿ぉ~、おはようございまぁ~す!あなたのウェンディですよぉ~♪」
おぅふ!
やっぱりウェンディさんは我が家には早朝に来るんだな(笑)
いつも用件があって来てるから、ご苦労様なんだけど、素直に労(ねぎら)えないのがウェンディさんなんだよ
「今開けますよー、、、『ガチャ』ウェンディさんおはようございます」
「シン殿、おはようございまぁ~す。あなたのウェンディですよぉ~♪」
「朝からウェンディさんに会えて嬉しいなぁ。それでご用件は何ですか?」
「やったぁシン殿が喜んでくれ、、、たフリをしてるだけじゃないですかぁ(泣)乙女の純粋な心を何だと思ってるんですかぁ」
「ウェンディさん早朝からは勘弁して下さい、しんどいです。」
「むぅ、確かに早朝からお騒がせしてごめんなさい。次からは昼間ならちゃんと相手をしてくれるって事ですよね♪」
「え?あぁ~、そうですね、早朝よりは」
「やったぁー♪」
「はぁ、それはいいですけど、何か用があるんでしょ?」
「勿論ですよぉ、本日オフューカス子爵が街の視察に来られるんです。おそらく池田屋商会にも視察に行くと思うのでお知らせに来たんですよぉ」
『ゾワッ』
っ?!
何だろう?この背筋に走る悪寒のような感覚、以前にもあったような気がするのだが、、、
「シン殿、聞いてるんですかぁ?」
うーむ、ウェンディさんは何も感じて無いみたいだし気のせいだろうか?
それにしてもオフューカス子爵か、子爵領では良い思い出が無かったけど、砂糖の為には一度は会う必要があるんだよなぁ、面倒くさいわぁ
でも向こうから来てくれるなら手間が省けて良かったか?
「ちゃんと聞いてますよ、ウェンディさんは子爵様の視察目的は知ってますか?」
「表向きは市場調査になってます。
でも、大きな声では言えないですけど池田屋商会をよく思ってないみたいなんですよぉ。
池田屋商会の甘味は砂糖を使って無いのに、甘くて美味しくて凄く売れてますよね、砂糖を作って儲けてる子爵としては死活問題になるので、嫌がらせに来た可能性はあります。
子爵は良い噂を聞かないので気を付けて下さいねぇ」
「忠告ありがとうございます。ウェンディさんご飯食べて行くでしょ?」
「はい♪」
さて、どうやって子爵を説得して砂糖を普及して貰うかだけど
事前に考えた通り、お菓子のレシピを餌にするのが1番か
その前に子爵の姿は確認しときたいな、良い噂を聞かないし、俺のイメージする腹が真っ黒な貴族だったらぶっつけ本番は危険だからな
いざ!
つづく。
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