第135話 スイートポテト
現在俺は我が家の裏庭で新作のお菓子スイートポテトを作る為に芋を焼いている
材料の芋は毎度お馴染み、眠れる森のエルフから贈られた芋の中から見つけた安納芋っぽいやつだ
こんな良い芋も雑草の如く大量に育つって言うんだから羨ましい限りだ。
ミリーさんによると、眠れる森を詳しく調査した結果かなりの種類の芋がある事が判明、現在は食べ方を独自に研究中らしい
眠れる森はエルフ以外が入るのは難しいから今の所芋はエルフの独占状態
将来的には芋焼酎を造って、ドワーフが設備の提供とメンテナンス、エルフが材料提供すれば交流が出来て良いかもしれん
さて、そろそろ焼けたかな?
炭火の遠赤外線効果で中までほっくほくだな♪
孤児院に持っていくのに大量に作らないと駄目だから
我が家総出で手分けして丁寧に裏漉ししてからバターと生クリームを入れて混ぜる、芋自体がかなり甘いから砂糖は使わない
バターと生クリームは牛が届き次第商会で作る予定だから、それまではスキルの「店」で買った物で代用していく
混ぜたら形を整えて表面に卵を塗り、オーブンに、、、
っていうかオーブンなんて無ぇよ!
我が家には窯も無いし、こんな事ならもっと早くに窯を作って貰うんだった(泣)
だがしかし、窯なら孤児院にある!
元々スイートポテトは孤児院の子供達で作って販売して貰うつもりだから、仕上げは向こうで子供達に任せればいいや
そうと決まれば、スイートポテトを収納に入れて孤児院に
れっつらごー♪
ーーーーーーーーーーーーーーーー
あっという間にやって来ました孤児院!
なんだけど孤児院の入口に手作り感満載の看板があって
それにはこの世界の文字で『池田屋こども園』と書いてある
確かに孤児院は従業員の為の託児所として使わせて貰っているんだが、完全にウチの商会が経営してる感じになってませんか?
「シンさん、ニィナさんこんにちは」
「院長さんこんにちは、あまり様子を見に来られなくてすいませんね」
「いえいえ、シンさんのお陰で子供達に毎日お腹一杯ご飯を食べさせてあげられるんですから、それだけで充分過ぎますよ」
「俺は商人として仕事を依頼しただけですよ。それであそこに目新しい物があるんですけど」
俺は孤児院の入口にある看板を指差して聞いてみる
「気付きましたか、あれは子供達が作ったんですよ、よく出来てるでしょう♪」
「そうですね、板を何枚も張り付けて文字を立体的にしてる所が素晴らしいです!」
何が凄いってあの看板、手前に文字が飛び出るように立体的にしてある
そして花と果物の絵が描いてあってちゃんと色も塗られている
街中にもあんな看板は無いから子供達のアイデアだろう
「私も初めて見た時は驚いたんです、最近は絵に興味を持つ子供も増えてその子達が作ったんですよ♪」
「それで、池田屋こども園というのは?」
「あれはミリアリア様に名付けて頂いたんです、元々は領主様に建てて頂いた孤児院ですけど今は居ませんし、幸いにもシンさんから頂いたお仕事だけで充分な収入があり孤児院の運営が成り立っていますので
それなら孤児院も池田屋商会に入れてしまえば良いと仰られてあの名前に、聞いていませんか?」
おぅふ、ミリーさーん!聞いてませんよぉーー!!
「えぇ~と、聞いたような、、、でも以前から託児所として使わせて貰ってますし、商会の一部みたいな感じでしたからね歓迎しますよ(汗)
それで今日来たのは、孤児院で作って販売出来そうな新作のお菓子を試食して欲しくて来たんですよ、お菓子の仕上げに窯を使いたいんですけどいいですか?」
「勿論ですよ、さあさあこちらです」
院長さんに案内されて孤児院の裏手に行くと、子供達が元気に遊んでいる
「あっ!会長だぁ」
「「「「「会長こんにちはー♪」」」」」
「みんなこんにちは」
「わん♪」
「ワンちゃんだ、可愛い!」
「リリーって言うんだ仲良くしてくれるかな?」
「うん♪」
お菓子をあげる約束をしたからリリーもちゃんとついて来た、お菓子に釣られるってそれで良いのかフェンリルよ
うん、良いみたいだね、喜んで子供達と遊んでるもの(笑)
「シンさん窯はこちらです、温めるのに時間がかかりますがどうします?」
「それなら子供達に任せましょうか、表面に軽く焼き色が付けばいいです、お菓子は3種類あるのでそれぞれ1個づつですね、それとリリーにも食べさせて欲しいんですが」
「皆聞いてましたね?」
「「「「「はい!」」」」」
おおっ?!
皆まだ小さい子供なのにしっかりしてるなぁ
「シンさん、実は相談があるのですが宜しいでしょうか?」
「ええ、俺で良ければ構いませんよ」
「ありがとうございます、では私の部屋に行きましょうか」
つづく。
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