第123話 創造神様に聞いてみよう

イセガミさんが日本に帰れないか創造神様に聞くために、教会にやって来た俺とニィナ


教会にある女神像に祈って創造神様と話す為だ、もしかしたら女神像に祈る必要は無いのかもしれないけど


こういうのは祈る側である俺の気持ちが大事だと思う


だから創造神様と話す時、俺は女神像に祈る。



ただ、皆がどうして創造神像と呼ばずに女神像と呼ぶのかは謎だ、女神像でも正しいんだけど


だから俺も女神像と呼んでいる






「院長さん、夜分遅くに失礼します」


「シンさんにニィナさん、こんな時間にどうされたんですか?」


「申し訳無いのですけど今からお祈りさせて貰えますか?急用でして」


「勿論構いません、教会は何時誰であろうと扉を開けて受け入れておりますので」


「ありがとうございます」




この時間なら孤児院の子供達は寝てるし、教会に来る人も居ないだろ


院長さんに見られても、創造神様との会話は声を出さなくても出来るからたぶん大丈夫



俺は教会に設置されている女神像の前に行き、手を合わせて心の中で呼び掛ける



あーあー、創造神様、聞きたい事があります、答えて頂けますでしょうか・・・





おぉっ?!


女神像が光っとる、そしてうっすら実体化してる?


女神像の前にぼんやりとだけど、女性らしき光の輪郭が・・・


まさか、創造神様が降臨された?!




「こんばんは、お供え以外で呼ばれるのは初めてですね、良いでしょう聞きたい事とは何ですか?」


「ありがとうございます。以前創造神様が仰っていた『あの子』は伊勢神幸子さんの事で良いのでしょうか?」


「その通りです、フェンリルに守護をさせているので心配はしていませんでしたが、無事出会えたようで何よりです」


「それで伊勢神さんの事なのですが、日本に戻るのは無理なのでしょうか?」


「残念ですが日本には戻れません、本来なら肉体ごと次元を越える事は出来ないのですが、こちら側の不手際で『あの子』には大変申し訳ないと思っています」


「その言い方だと魂だけなら可能なのでしょうか?私や熊耳さんは魂だけで次元を越えたという事になると思うのですが」


「それには肉体の死が前提条件になります、その他にも条件はあるのですが、特にあなたに関してはレアケースと考えて下さい


それと、地球側の神もここに居ますので少し待っていて下さい」



地球側の神?


やっぱり神様って沢山居るのか、、、?!


光の輪郭が二つになっとる!



「お待たせしました、、、ちーちゃん!何してるのよ、ちゃんと謝るんでしょ?」


「そうなんやけどやっぱり気まずいやん、ウチのせいなんはよう分かってるんやけど」



おおっ!


ちーちゃんさん地球の神様だったのか、なら今度のお供えは『おはぎ』なんか良いかも



「ええやん、おはぎ♪きな粉のやつとか好きやで」


「えぇーー?!もしかして心を読めるのですか?」


「いつもは無理なんやけど、やっぱり教会やからかな、携帯の電波3本立ってるみたいやで、バリ3やな♪」


「そっ、それは良かったです」


「ちょっとちーちゃん!おはぎって何なのよ?甘いの?美味しいの?」


「甘くてめっちゃ美味しいで♪ふーちゃんは、きな粉無い方が好きそうやけど」


「そうなの?でも両方食べるから問題無いわ♪」



「あのう、御二人とも盛り上がってる所よろしいでしょうか」


「ごめんな、つい盛り上がってしもた。今回の事はウチのミスが原因やから、本当にごめんなさい」


「それは、、、出来れば伊勢神さんに直接言って欲しいのですが」


「それは無理かなぁ、あの子そっち方面の素質が無いからウチらの声は聞こえへんねん、だから保護をお願いしたんよ」


「そうなんですか、再確認ですけど日本に戻る事は不可能なんですね?」


「無理やね、次元の穴はキッチリ塞いだし、そもそもこっちの世界から地球にいくのは相性が悪い言うんかな、魂だけやとしてもこっちから行くのはちょっとなぁ


どうしてもって言うんなら魂が消滅するやろうけど送るで」



「戻れない事は分かりましたので遠慮します。最後に、伊勢神さんは勇者召喚されたと言ってましたけど、他には居ないんですよね?」





「あ゛っ・・・」


「ふーちゃん?」



今、「あ゛っ」って言ったよな、「あっ」じゃなくて「あ゛っ」だったよな、聞いた側が1番不安になるやつやん!



「えーと、大丈夫だから!確かに次元に穴が開いた跡が幾つかあったけれど、、、皆元気に暮らしてるんじゃないかしら(汗)」


「そっ、そうやね、きっと大丈夫や!大丈夫に決まってる!あんたとあの子は、ウチらが責任持つから心配せんでええで


ほな、元気でなぁ


そうそう、次のお供えは、おはぎと海老期待してるから、ばいば~い」


「そっ、そういう事ですので(汗)我々はあなた達を見守っていますから、さようなら~」




あぁ~、行ってしまったけど、途中から面倒くさくなったんじゃないよな?


俺もこれ以上誰かを保護するとか面倒だからいいんだけどさ


次のお供えはおはぎか、忘れないようにしないとな


でもスキルの「店」を管理してるのは創造神様なんだからそこから自由に持って、、、来れたらわざわざ頼まないか


神様だからお供えされるって事に意味があるのかもしれないしな


聞きたい事は聞けたし



「ニィナ帰ろう、、か?!」



俺が振り向くと、ニィナが涙を流しながら女神像を見つめていた


そして、教会の後ろの方では、同じように院長さんが涙を流しながら祈りを捧げている


まあ、神様が降臨したんだからそうなるよね



「主様、神が、、、神が見えました」


「そっ、そうだね、ニィナにも見えて良かったよ」



「シンさん、あなたはいったい・・・」


「院長さん、総ては創造神様の御心のままに」


「・・・はい」




院長さんにはそれっぽい事を言ってみたけど、俺に創造神様達の考えている事などさっぱり分からん



美味しいものが食べたいって事だけは確実だろうけどな(笑)






つづく。

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