第121話 邂逅 その2

神獣フェンリルの突然の登場により


ついに創造神様の言ってた『あの子』が、伊勢神幸子という名前の人だと判明した



サチコ・イセガミ



少し前に我が家を飲食店と間違えて来た人だろう


随分と可愛らしい見た目のフェンリルだったが、神獣というだけあって会話が可能で意志疎通が出来るのはありがたい


伊勢神幸子の守護と俺の保護が使命らしいので、これからお世話になります。





そして現在


フェンリルはスミレに抱えられて仲良く夕食が出来るのを待っている、どうやら唐揚げが食べたいみたいだ


それはいいけど


使命はどうしたフェンリル!


その事をこっそり聞いたら、さっちゃんに危害を加えられそうなのはこの街には2人しか居ないから心配無用だそうで、ニィナとケイトを見ながら言われてしまった


それならまぁ良いか、しかし伊勢神さんは強いんだな、異世界テンプレの勇者召喚をされたのかな?


フェンリルが心配無用だって言うんだから今は夕食を楽しもう♪



「みんなお待たせ、ナポリタンの麺は、ケイトちゃんとメリルちゃんがうどん、カスミちゃんとスミレちゃんが中華麺、シンさんとニィナちゃんはパスタで良かったかしら?」


「はい、ありがとうございます。3種類も作って貰ってお疲れ様です」


「みんなが手伝ってくれたからそうでも無いわよ、唐揚げは熱いから気を付けてね」


「それじゃあ食べようか、いただきます」


「「「「「「いただきます」」」」」」


「わん♪」


「この茶色いのが唐揚げ?初めての料理だね、あーんっ、、あぢっ!はふはふ、はふはふ、これ鳥肉なのに汁が凄い出て旨いよ!まさかダンナ以外でこんな美味しいの作れる人が居るなんてなぁ」


「ふふっ、ケイトちゃんありがとう♪シンさんとは同じ国の出身だからじゃないかしら」


「そう言えば、おにいちゃんって他の国から来たんだよね、遠い所なの?」


「そうだね、俺が両親と国を出たのはまだ幼い頃で詳しく覚えて無いんだけど、大陸の東端から船で海を何日も行った所にある島国らしいよ」



俺がメリルに話したのは、事前にお藤さんと打ち合わせて決めた作り話だ


こんな事を考えたのには勿論理由がある、俺はお藤さんと同じ転生者だと思うけど、気付いた時には森の中に居て既に20歳だった


転生したのなら、この世界で生きてきた20年の人生がある筈なのだが全く記憶に無い


前世の記憶が蘇ったショックで記憶が無くなったのだろうか?


お藤さんは前世の記憶も、この世界での記憶もちゃんと両方あるらしいのだが・・・


そういう事情から俺は他国の出身っていう事にしてるけど、いつまでも詳しい事を言わないのは不自然だから


幼い頃に家族と国を出て移民として山村に住んでたけど、国の場所は分からず帰れないって設定だ


以前サウスビーチの図書室でこの国の地図を見たがかなり大雑把な物だった、ましてや海なんてリヴァイアサンが支配してるから危険とか書いてあったし


もしかしたら何処かに伊能忠敬のような人が居て正確な地図が存在するかもしれないけど


国を出たのが15年以上前っていう設定だから、小さな島国ならリヴァイアサンに沈められて消えた事にすればいいだろう




「へぇー、ダンナって島国の出身なのか、てっきりマ国出身かと思ってたんだけどなぁ」


「魔国?」


「北の大国って呼ばれてるよ、行った事は無いから詳しく知らないんだけど、マ国製の魔道具は性能が良いんだ、ダンナが色々知ってるのもマ国出身だからだと思ったんだよ」


「そんな国があんのか、快適な生活の為に魔道具は欲しいな」



しかし魔国って、魔族が居るんじゃ無いだろうな?


勇者が居るなら魔王が居てもおかしくは無さそうだけど・・・


今の所、魔王とか魔族の話とか聞かないけど、魔王も案外平和主義者だったりしてな(笑)



「わふ!わふ!わふ!わふ!」



なんだ?緊急事態か?!


急にフェンリルが、「わふ!わふ!」言い出したから何事かと思ったんだけど


食べた唐揚げが熱くて「はふはふ」しているだけだった、とても紛らわしい


神獣も熱い物を食べると「はふはふ」するんだな(笑)





『コンコン』


「会長居るかーい?ヘレンだよ開けとくれー!」



女将さんか、この時間に来るって事は何かあったんだろうか?



「はーい、今開けますよー、、、『ガチャ』女将さんこんばんは」


「悪いねこんな時間に、ちょいと会って欲しい子が居てね、ほらサチコさんこの人が会長だよ」


「はっ、初めまして、サチコ・イセガミと申します!」


「初めまして、シンと申します、ここじゃあれなんで中にどうぞ」


「それじゃあ、おじゃまするよ~」


「おじゃま致します。」





ついに来たか、サチコ・イセガミ


この時を待っていたぞ!






つづく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る