第108話 熊耳藤改め『お藤さん』
朝、目が覚めると仰向けの状態で天井が見える
そして俺は今動けない状況にある
何故なら昨夜寝た時から両腕をカスミとスミレにがっつり掴まれているからだ
俺が動くと2人を起こしてしまうので動けない、普通なら一晩中この状況はかなり辛いだろう
だがしかし
今の俺はバッチリ熟睡して元気いっぱいだ♪
実は1度身体がバッキバキになって夜中に目覚めたんだ、そしてこれはいかん!と思った
原因は長時間同じ姿勢でいる事で身体にダメージを受けているせいだ
ダメージが原因・・・
それなら回復魔法で解決出来るじゃないか!
まあそんな感じで無事に朝まで熟睡する事が出来た、そろそろ夜が明けるから起きたいんだけどなぁ
「うにゅ~、ごしゅじんしゃまおはようごじゃりましゅ」
「はい、スミレおはよう。みんなも起きろ~」
よし、みんな起きた、、、あぁ~、ケイトが腹を出して寝てるよ
年頃の娘が腹を出して寝るんじゃありません
ケイトっぽいと言えば、ぽいんだけどな(笑)
『ペチペチ』
「ケイト起きろ~、腹が冷えるぞぉ~」
「ふぇ?」
みんな起きたし朝食の準備だ、今日は熊耳さんが来るから頑張らないとな
メニューは
おにぎり、たまご焼き、アサリの味噌汁、サバの塩焼き、キュウリの浅漬け
こんな感じでいいか
『コンコン』
「おはようございまーす、熊耳ですー!」
「はーい、今行きますよー!、、、『ガチャ』おはようございます熊耳さん、ちょうどご飯が出来た所ですから中に入って下さい」
「おじゃまします」
「そうそう、熊耳さんの引っ越しの荷物を後で取りに行かないと行けませんね」
「それでしたら、今持ってるもので全部ですから大丈夫ですよ」
「その小さな背負い袋だけですか?それとその木札」
熊耳さんは小さな背負い袋と、お店のドアにかけてあった『春夏冬中』の木札しか持っていない、流石に少な過ぎると思うんだけどな
「もともと着替え位しか持っていませんから、そしてこの木札は亡くなった主人がお店を持った時に作ってくれた物なんです、私にはこれさえあれば何処でだってお店を開く事が出来ます
生活に必要な物は、、、雇い主から支給して欲しいのですけど、駄目でしょうか?」
「ぷっ、あはははは、従業員の生活を守るのも俺の役目ですからね、お店も住む場所も任せて下さい!
一緒に頑張って稼ぎましょう!」
「はい♪」
初めから住む場所とかちゃんと用意するつもりだったんだけど、直接俺に要求してくるとかこの世界の人じゃあり得ない
この世界だと雇い主が保証するのは働いた分の報酬だけだ、それ以外を要求すればそれは、ゆすり、たかり、強迫と受け取られても文句は言えない
疑ってた訳じゃないけど、熊耳さんは本当に元日本人なんだな
熊耳さんと一緒にリビングに行くと既にみんなが朝食の用意をしてくれいる
「さあさあ熊耳さん座って下さい、リクエストの塩だけのおにぎりと、他にも色々用意したんで
みんなも準備ありがとうな、紹介するよ熊耳さんだ、雇って商会で働いて貰うから仲良くな」
「皆様初めまして、熊耳藤(くまがみふじ)と申します、熊耳が家名ですので藤とお呼び下さい、これからどうかよろしくお願い致します」
「あたしはケイトだよ、フジさんよろしくね~」
「藤さん、、、ん~、どうしても富士山をイメージしちゃうなぁ」
「ふふっ、富士山ですか、前世でもよく言われてた記憶がありますね(笑)」
「そうなんですか?じゃあ『お藤さん』ってのはどうですか?」
「ええ、それで構いません」
「それじゃあみんな、これからは『お藤さん』って呼ぶように
お藤さんにもみんなを紹介しますね右から、メリル、ケイト、カスミ、ニィナ、スミレ、みんな俺の大事な家族みたいな仲間です」
「あらそうなの?私前世でもこちらの世界でも子供が欲しかったのだけど出来なくてずっと主人と二人だったから、賑やかなのは嬉しいわ♪」
「紹介も済んだしご飯食べようか、いただきます」
「「「「「いただきます」」」」」
「いただきます、スンスン、さっきからずっと気になっていたのだけどやっぱりお味噌汁よね?
はぁ~、またお味噌汁が飲める日が来るなんて、、、」
「このスープ凄い旨いじゃん!この貝お嬢が捕ったやつだろ?」
「うん、そうだよ♪見た目はなんだか気持ち悪かったけど美味しいね」
「ええ、本当に美味しいです、これなら他の貝も期待出来ますね♪」
「スミレがおねぇちゃんと捕ったやつも美味しい?」
「2人が捕ったのはハマグリだったな、凄い美味しいから楽しみにしててな」
「うん♪」
お藤さんがアサリの味噌汁に感極まって涙を堪えているのだが
ウチのみんなはいつもと変わらない、というよりみんな空気が読めて周りに気を使える良い子ばかりだ
だから気を使った結果、いつも通りにしてるんだろう
そんなみんなが俺にとって大事な存在になっているって、改めて実感するよ
飯を食べたらキャラバンシティに帰ろう!
つづく。
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