第64話 やる気スイッチ オン!

「ニィナ、カスミ、スミレおはよう」


「「「おはようございます」」」



今朝もいつものように部屋の前で並んでいる3人に挨拶をする


わざわざ待ってなくていいんだが、好きでしている事だと言われると何も言えないよね


そして今日はカスミが久しぶりに朝からいる


最近ずっと朝一でだし巻き玉子を作って貰っていたけれど


最近ようやく我が家のだし巻き玉子のブームが落ち着いて来た


とはいえほぼ毎日食べてたのが3日に1回ペースになっただけだがな



そんな最近の我が家のブームは麺料理


製麺所が出来たので品質を確認する為に定期的に抜き取り検査をしていて


その抜き取った麺を消費するのに麺料理が多くなったのが原因でもある



今日の朝食はパスタにお吸い物の元を混ぜてから、たらこを山盛り乗せた、たらこスパゲティ


スパゲティって言ってるけど、麺はうどんだったり中華麺だったり各自好きな麺で食べる




「ダンナおはよう」


「おにいちゃんおはよう」


「おう、ケイトにメリルおはよう」


「ねぇねぇさっそくデザイン考えたんだけどどうかな?」


「もう考えたの?!」



オリジナルの飾り細工を作る為にデザインを描く用に、スケッチブックと色鉛筆を昨夜メリルに渡したのだが


まさかもう考えて描いて来るとは思わんかった


しかも既にスケッチブックの半分くらい使ってるよ



さて中を拝見


ふむふむ、今までちゃんとした絵を描く機会なんてなかったと思うのだけど、かなり上手く描けてる


花をモチーフにしたデザインが多いな、他にはチェック柄のリボンかな?


昨日あげたシュシュに影響されて思い付いたのだとしたらたいしたもんだな


しかしこうなるとちょっと困った、予想よりデザインの完成度が高過ぎる(汗)


これを工房に発注してもかなり時間がかかるっていうか作れるのかこれ?



今回作って売ろうとしているのは、ヘアゴム、シュシュ、かんざし、つげ櫛


これらに付ける飾り細工をメリルのデザインで1から作ろうとしている


つげ櫛なら俺が用意した櫛にデザインを彫り込む事で出来そうだが、、、




「ねぇ、どうかな?」


「すげぇ良いデザインだよ♪他にも色を変えたのとか描いてみてよ、俺は出かけて来るから」


「うん、いっぱい描くね♪おにいちゃんいってらっしゃい」


「いってきまーす」




ーーーーーーーーーーーーーー



ちょっとした仕込みの為にニィナと2人でドワーフのガゼル親方の工房にやって来た




「おはようございまーす、親方さーんいますかー?」


「おうお前さんか、朝から来るとは珍しいな」


「親方さん、急ぎの仕事です!こういう感じの台を作って欲しいんです、それとここの角度は高めにして、ここは黒色に塗って、、、」


「おっ、おいちょっと待て!描くもの持ってくるからよ」



俺は親方さんの工房に商品を並べる台というか棚を発注しに来た


その理由がメリルが描いたデザインの完成度が高すぎたからだ、最初は普通に露店で布を敷いた上に商品を並べて売ろうと思ったのだが


あのデザインの商品を普通に売っては勿体ない、そこで元世界のお洒落な雑貨屋の商品棚を真似て並べれば見た目のインパクトはあるはず




「ふふっ、主様がこれほどやる気なのは珍しいですね、お嬢様の為ですか?」


「あぁ、そうだね思い付きで言っただけなのに、あんなに良いデザイン持ってこられちゃやる気にもなるだろ


それに子供の可能性を全力でサポートしてやんのが、大人の役目ってやつだからな


格好付けて言ったけど単純にあのデザインを見て、売れる商品を思い付いただけだったりする(笑)」


「売れる商品ですか?」


「しかも貴族に売れる商品だよ、詳しいことは実際見てからの方がいいだろ」





「おーい待たせたな、それでこれは何用の台なんだ?」


「露店で商品を並べるのに使うんですよ」


「それにしちゃあ随分と変わった形だが、まあ今更お前さんのやる事に驚きはせんがな、ガハハハハハハ」


「ははは、それでこれ2~3日あれば出来ますか?」


「んー、色を塗らにゃならんが2日あれば充分だな、明後日取りに来い」


「ありがとうございます、今回は急な依頼だったんで代金とは別にこれ受け取って下さい、、、よいしょっと、『ドシン!』」


俺が出したのは、予め空のワイン樽に水と氷と瓶ビールを入れて冷やしておいた物だ


工房の差し入れ用に、収納に沢山入れていて何時でも出せる♪



「ガハハハハハハ、やはりお前さんはワシらドワーフの事をよく分かっとる、最近じゃあお前さんの酒が飲めない日は物足りなくてよぉ」


「1度に売る数に限りはありますけど製麺所まで行ってくれるなら、定期的に買えるようにしましょうか?あそこの地下に置いておけば充分冷えますし」


「マジか?!絶対行く!!若いのに行かせるからよ」


「じゃあ製麺所のママさん達に伝えときますね」





工房を後にした俺達はそのまま製麺所に向かう、地下にビールを置く為でもあるが


メリルがデザインした商品を作るのに仕込みが必要なんだ


今回かんざしは残念ながらそのまま売る事になるが、他はどうにかしてみせる



今こそ授かったチート能力で、無双する時ぞ!!




ふははははは♪





つづく。

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