第63話 そうだ、麦芽糖を作ろう!

そうだ、麦芽糖を作ろう!



俺がやりたいのはこういう事であって、女性用の下着を売るとかじゃ無い!


だがしかし


今更下着を売らないという選択肢は無いからこれからも下着は売りますとも


アストレア様が下着を気に入ってしまったので売らざるをえないんだ


美容品とか下着を使って貴族社会の面倒な、なんやかんやを解決するつもりらしい



しかも下着に関してはもっと低品質の物を要求されている


そこはやはり貴族のプライドと言うか、女のプライドと言うか


他の女性が同じ下着を着るのは嫌なのだとか、俺としては何を売っても儲かるから全然構わない



ただし、スキルの「店」にあれより低品質の物は無い、安くても高品質それが世界に誇るジャパンクオリティなんだ!



まさかこんな所で日本の長所が枷になるとは(泣)


しかたないから子供用というかティーン向けの下着を用意した


デザインがセクシーじゃないだけで品質はそれほど変わらないんだけど他に無いからな



それにおっさんが女性用の下着を売るとか色々と気を使って精神がゴリゴリに削られるんだよ(泣)



この国の人にしたら今まで下着なんて無かったんだから、男に下着を見られて恥ずかしいという感覚なんて無いのかもしれんけど


元娼婦の女性達に下着の販売を任せたいが、彼女達に下着の知識はないから最初は俺が教えるしかないのだが、、、俺の精神、、、



とりあえず、俺の精神を癒す為にも麦芽糖を作ろう!



異世界小説が好きで読みまくっている人なら1度は考えた事があるかもしれない、自分が異世界に行ったらどうするか?



今より遥かに文明が発達した世界だったら?とか、転生した先が無人島だったら?とか


逆に、洞窟で暮らしながら石の槍でマンモスを狩るような文明レベルの世界だったら?


そういうのを想像して色々調べた事があるんだ、作物の育て方から、発酵食品、酒、火薬、電気の作り方とか



そこで知ったのが砂糖の代わりになる甘い食べ物、それが大麦から作る麦芽糖だ


これの良い点はトウモロコシや他の物でも作れる所で


ようするに『デンプン』があれば似たような物が出来るらしい


この街のトウモロコシは安いから、上手く行けば孤児院で作らせる予定なんだ



そして麦芽糖を砂糖の代わりに流通させようと思っている、未だにこの世界で砂糖を見ないってのもあるし


畑でサトウキビ等を栽培するのは時間もかかる、そもそも俺が自由に出来る土地が無い


貴族は砂糖を食べるらしいのだが、希少過ぎて街に出回らないだけか?


今度アストレア様に聞かないとな



そんな事はちょいと横に置いといて、麦芽糖を作りまっせ!


麦芽糖って言ってるけど今から作るのは麦芽糖を使用した麦芽水飴だ



作り方は簡単


まず鍋に餅米でお粥を作り、あらかじめ乾燥させておいた大麦麦芽を投入、それを一晩置放置してから布等で濾す


残った液体を煮詰めれば、とろみの付いた茶色い麦芽水飴の完成だ


砂糖ほどではないが充分な甘さがある




これだよ、この街にはこの甘さが足りなかったんだ、俺は普通に砂糖を使った物を食べれるけど


この街の甘い物と言えば果物しか無い、その次に甘い物が俺が売った干し芋なんだから、いかにこの街に甘味が不足しているか分かるだろう



この麦芽水飴を芋に絡めて大学芋っぽいものと、ポップコーンに絡めれば昔よく食べたポン菓子っぽい物になる、これらを孤児院で売ればかなりの利益になるだろう


そろそろ教会と孤児院も寄付無しで運営していける筈だ





そんな事を考えていたら足に何か当たるなと思って見ると、いつの間にかスミレが来ていて揺れる尻尾が俺の足に当たっている


犬耳の獣人だからか匂いに釣られて来たのかな?


となるとそろそろウチの腹ペコ娘達も来る頃だな



「ダンナァ~、また何か美味しい物作ってるのぉ~?」


「新しい甘味を試作してるんだよ、芋に絡めて食ってみろよ」


「あーんっ、、、うん、甘さは少ないけど旨いよ!」


「本当だ♪ねぇおにいちゃん、これは売るの?」


「これだけでは売らないよ、芋とポップコーンに絡めて甘味として孤児院で売ろうと思うんだ」


「そうなんだ、、、むう、、、」



う~む、微妙にメリルの機嫌が悪くなってしまった(汗)


そういえば最近人が増えて販売は殆ど任せちゃったからなぁ、今はメリルのする仕事が無い状態だ


メリルは常に何かやっていたいタイプらしい



「なあメリル、これ広場で売ってみてくれないかな?」


「なにこれ?!凄く綺麗♪」



俺が渡したのは、『かんざし』と『つげ櫛』


どちらも実用性とオシャレを兼ね備えた品物だ



「これをさシュシュやヘアゴムと一緒に広場で売って欲しいんだ、土産物として売れないかなと思ってさ」


「うんいいよ♪でも土産物じゃなくても普通に売れると思うよ」


「そうかぁ~、じゃあさオリジナルのデザインにして工房で作って貰おうか?でもなぁ~、俺はデザイン考えるの苦手なんだよなぁ~、メリルはデザイン考えるの得意かな?」


「えっ?やった事無いけどわたしが考えていいの?」


「あぁ、やってくれると助かるよ」


「じゃあ頑張るね!絶対可愛いの考えるから♪」







そういえば久しぶりにあんなに楽しそうなメリルを見るな



やっぱメリルには笑顔が1番似合うよ



その笑顔を守る為にも俺に出来る事はなんだろう、、、






つづく。

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