第36話 平和な朝と奴隷の事

朝、目が覚めるとそこは


いつもと変わらぬ部屋だった、良いねぇ変わらぬ日常ってのは


おっさんは急な変化に弱いんだ。



さて今日の朝食のメニューはどうすっかな、などと考えながら部屋を出ると



「「「おはようございます、ご主人様!」」」


「おっ、おぅ?!みんなおはよう」



ドアの前に、ニィナ、カスミ、スミレの3人が並んでいて挨拶してくれた


わざわざ待ってなくてもいいんだけど、奴隷紋のせいで俺の言う事には絶対服従だから、俺から何かお願いする時は慎重に言わなければならない


ニィナは大人だからいいけど、カスミとスミレは子供だから発言には気をつけてやらないと駄目なんだ



ちなみに奴隷から解放するにはそれなりの金と王様の許可がいる。


奴隷を管理する大臣と面談して王様が許可すれば奴隷から解放出来るらしいけど


言葉は悪いが奴隷ごときに王様の許可が必要とは思えないが、この国の法律ではそうなっているから仕方ないけど


『王様が絶対!』


のこの国でわざわざ奴隷解放する馬鹿はいない、自分の為に王様に時間を割いて貰うなど畏れ多いからだ



何が言いたいかというと、おっさんには奴隷解放は無理って事だ


せめて俺の奴隷で良かったと思って貰えるようにはしたい




「あっ、あの、私達は何をすればよいでしょうか?」



おっとすっかり考え込んでしまっていた



「そうだなぁ、とりあえず朝食作るの手伝ってくれ」


「かしこまりました」



「今朝は簡単に出来るトマトソースのパスタにしようか、パスタはとりあえず2キロ茹でよう、ニィナお湯沸かしてくれ」


「承知しました。」


「カスミはソース温めてもらおうか、鍋に入れて焦げないように底からゆっくり混ぜればいいよ」


「はい!」



うーん、ソース温めるだけなんだけど凄い気合いだな(汗)



「主様、お湯が沸きました」


「サンキュー、お湯に塩を入れてパスタ投入!ニィナこれゆっくり混ぜといて


そんでスミレにはこの砂時計の砂が全部下に落ちたら教えて欲しい、パスタは茹で時間が重要なんやけど、出来るかな?」


「あい!」



うん、スミレも気合い充分だな♪



「それじゃあみんな任せた」



俺はその間にダラダラする!


5分くらいで茹で上がるから他に出来る事もないんだ



「ダンナおはよう」


「おにいちゃん、おはよう」


「2人ともおはよう」


ケイトとメリルが二階から降りてきた、なんだかんだこの2人仲良いんだよな、護衛で常に一緒にいるからかもしれんけど



「砂、全部落ちたー!」


「おぅ、スミレありがとうな」



なんとなくスミレの頭をワシャワシャしてやると尻尾がブンブン振れてとても可愛い♪



「ニィナ、パスタをザルにあげてお湯きって、あとは各自好きな量を取ってソースかけてくれ」



俺は自分のパスタを持ってテーブルで待ってると、みんな普通の量を皿に取って持ってくるのだが、スミレも皆と同じ量を皿に盛っているではないか!


あの小さな身体に入るのか?


実は自分が食べれる量を知らないなんて事は、、、あるな!


腹いっぱい好きなだけ食べる事なんて無かったかもしれんし、そういうのも経験しないと分からんもんだよな



「みんな揃ったな、それじゃあいただきます」


「「「「「いただきます」」」」」



これくらいの人数になると合宿みたいだ、そうなると俺は完全に教師のポジションだな(笑)



そんな事を考えていたらあっという間にスミレがパスタを完食していた、マジであの量を食ったのか?!


ただ少し苦しそうではあるな


スミレ用に小さい皿を用意するべきだろうか




「ねぇおにいちゃん、パスタは売っちゃ駄目?」


「パスタかぁ、それなら作るところからやろうか」


「どういう事?」


「仕事が無い人を雇ってパスタ作って貰って、売るのも任せれば俺達は何もせずに儲かるって事だよ」


「ははは、やっぱダンナはスゲェーや!何もせずに儲けるなんてさぁ


あっ!でも知らない奴を雇うのはなぁ」



「その辺もちゃんと考えてあるよ、うまくいけばこの街の雇用問題も少しは改善するかもな」


「ねぇおにいちゃん、全然分からないんだけど」


「ははは、直ぐに分かるよ、まあうまく行くかはやってみないと分からないからね、片付けたらさっそく女将さんのとこに行くよ」




ーーーーーーーーーーーーーー




みんなでやって来ました女将さんの宿



「女将さんおはようございます。」


「おはようさん、おや?誰かと思えば話題の旦那じゃないか(笑)」


「ちょっと女将さんそういうのやめて下さいよ」


「ははは、話題なのは事実だからねぇ、それに随分と賑やかになってるじゃないか」


「おかげさまで商売が順調でまだまだ人手が足りないんですよ、そこで女将さんにお願いがあるんです」


「あんたがあたしにお願いなんて珍しいね、あたしに出来る事なら何でも言いな」



「実は新しい食べ物を作ろうと思ったんですけど人手が足りなくて、そこで女将さんに信用出来る人を集めて貰えないかと思いまして」


「また食べ物かい?!あんたの中にはどんだけ知らない食べ物が詰まってるんだい」



女将さんに呆れられてしまった、解せぬ!




「それで、人は集められそうですか?」


「何人か心当たりはあるけど、全員女だからチカラ仕事にゃ向かないよ?」


「構いません、ちなみにその人たちは子持ちですか?」


「ああ、旦那が死んでひとりで子育てしてる女ばかりだね、たまにある商会の雑用と小物を作って広場で売るぐらいしか仕事が無いから、あんたが雇ってくれるならありがたいねぇ」


「雇うのは実際会ってから決めますけど、その人達の保証人に女将さんがなって下さい、何かあれば女将さんが責任を取る事になるって、表向きにはそういう事にしといて欲しいんです」


「ん?、、、なるほど考えたねぇ、何かあれば仕事を紹介したあたしに直接迷惑がかかるって事だね


あたしが言うのもなんだけど馬鹿は何処にでもいるからね、そのぐらいしてちょうどいいよ」


「それじゃあ人集めお願いしますね」


「任せときな、いい女を集めとくよ」




これで従業員は大丈夫っと。


次は大事なパスタマシンだな、パスタマシンと言っても元世界でもお馴染みの手動で生地を伸ばしたり麺の形にカットするやつだ


二本のローラーの間に生地を通すだけのシンプル構造だからこの街の鍛冶屋とか大工さんでも作れると思うんだよ


業務用のデカイのがあれば仕事も楽になるしな


そうと決まれば、いざ職人街へ!






つづく。

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