テンプレな異世界を楽しんでね♪～元おっさんの異世界生活～

第21話 干し芋の女

今日は露店での仕事終わりに料理を教える為に肉屋のロンの所に来ている

まず作るのは鳥ガラスープ

ロンの肉屋は主に鳥を扱っていて、骨は毎日大量に出るのに捨てるだけだったから有効活用出来てとても喜んでいた

そして鳥の骨を煮込んで作った鳥ガラスープに、具材として生姜入りの鳥肉のつくね？つみれ？

どっちか分からんけど要するに「鳥肉だんご」と野菜を鍋で一緒に煮込んだら、なかなか美味しい鳥肉だんごと野菜のスープが出来た♪

まあスープというより水炊き鍋って感じだけど美味しいから問題は無い！

最近、朝晩は気温が下がってきたから生姜で体も温まってちょうど良いだろう

そろそろこの街のお金を回すって事にも貢献出来てきたんじゃないか？

などと帰り道でお気楽な事を考えていたらメリルが服の袖を引いてきた

「ねぇ、おにいちゃんの事呼んでるんじゃない？」

むむっ？

わざわざ俺を呼ぶ奴の心当たりは無いのだが、振り向くと冒険者風の女がいた

「ダンナァ～さっきから呼んでるのに無視するなんて酷いよ～(泣)」

この女どっかで見たような、、、あっ！

俺がこの世界に転生した日に干し芋を売った女だ

「思い出した干し芋の女！」

「ちょっ、なんだよそれ～確かに干し芋は

買ったけどさぁ～(泣)」

「ははは、言い方が悪かったな、新商品の干し肉やるから許してくれよ」

俺は持っていた鞄から取り出したように見せて、スキルの収納から５００グラムほど干し肉を取り出して女に渡してやる

「おっ！干し芋の次は干し肉か～、やり手の商人は違うねぇっ、てこれ最近商業ギルドで話題の干し肉じゃないの？！」

「話題かどうかは知らんけど、干し芋も干し肉も俺が商業ギルドに持ち込んでる物だからな、お陰で商売繁盛してるよ♪」

「マジかよ！スゲェー人気で全然買えないんだよなぁ」

「そうなのか？いつも納品専用の裏口からしか行かないから店の様子とか知らないんだけどな」

「ダンナはこの干し肉の凄さをもっと理解するべきだと思うよ。そんな事はどうでもいいんだよ！

良くはないけどさぁ、旦那が冒険者ギルドの奴等に脅されたって聞いて心配してたんだよ、いつも露店やってた所でも見かけなくなったって皆話してたから」

「あぁ、アイツ等か、言うこと聞かないならあそこで商売出来なくなるって言ってきたから場所を替えたんだよ」

「それなら良かったよ、アイツ等権力を使って無茶苦茶するからさ」

「心配してくれてありがとな、えっと・・・名前聞いてなかったな、俺はシンって言うんだよろしくな」

「あたしはケイトだよ、よろしく～」

「それじゃあ俺たちは仕事終わりで腹が減ってるから帰るよ、暇な時だったら安く干し肉売ってやるから元気でな」

「ダンナちょっと待って～(泣)」

急に半泣きになられても困るんだよなぁ

「面倒事はお断りなんだが」

「ダンナとお嬢には迷惑かけないから！！」

俺は隣に居るメリルを見る、すると話だけでも聞いてあげたら？という感じでこちらを見返してきた

「話は聞くけど手短にな」

「えっと手短に、、、ギルドを辞めて、お金無くて、仕事探してて、、、だからダンナとお嬢の護衛にあたしを雇って欲しいんだ、、、欲しいです！」

見たところケイトと名乗った女が持ってる剣や革鎧はかなり使いこまれていて、素人の俺にでもきちんと手入れされているのが分かる

最近冒険者になったルーキーって訳でも無いだろうし、それなり以上に実力がありそうなこの女が

何故ギルドを辞めて仕事を探しているのか全く話が見えない、手短にとは言ったけどもさ

詳しく聞くと長くなりそうなので、とりあえず明日改めて話を聞く事にした

宿代にも困ってるらしいから女将さんの宿に連れていき俺が保証人になって金は後払いにしてもらった

もしこの女が逃げても宿代くらいは諦めよう。

家に帰った俺とメリルはさっそく夕食の準備をする

今日はスキルの「店」で買ったレトルトのカレーライスだ♪

転生した最初の頃はこの世界の食文化に合わせた食事を心がけていたのだが

元日本人としては米とカレーが恋しくなったのもあり、今では食べたい物を食べる事にしている

メリルも普通に食べてるしな、料理の知識や商品等々は一子相伝の秘密という事にしている

仮にメリルが俺の秘密を他人にバラしても構わない

なぜなら

『女の裏切りはスパイスのような物』って誰かが言ってた気もするからだ、カレーだけにな！

デザートのプリンを食べながらメリルに

聞いてみる

「ケイトの事なんだけど、信用出来ると思う？」

「ん～、悪い人ではないと思うよ、おにいちゃんの事を本当に心配してたみたいだし」

「じゃあ護衛兼、雑用係として雇ってみるか」

「うん♪」

その夜

俺はベッドに横になりふと思う、異世界でスローライフをする気も無いし、アホほど稼ぐ気も無く普通に暮らしたいだけなのに

次から次に厄介事が起こり過ぎやろ！

これも異世界テンプレなのだろうか・・・

はぁ～。

つづく。