第17話 ウィンナーサンド
借り物ながら自分たちの家を手に入れた俺とメリルは商人として新たなスタートをきった。
俺達は現在、東地区にある住宅街の空き地で露店の準備をしている、、、のだが
露店で肉串以外の食べ物は珍しいらしく既に人が集まっている
最近この街では珍しくて美味しい食べ物が短期間でいくつも出来たのが原因だろう
俺のせいですね(汗)
それで今から売ろうとしているのはホットドック、ホットドッグだったかな?まあここは異世界だから名前なんてどっちでも良いんだけど
せっかく女将さんと頑張ってウィンナーを作ったんだから是非流行らせたい
俺はさっそくホットドックを作っていく、パンの斜め上から切れ込みをいれて、ちぎったレタスと強火で表面をサッと焼いた極太ウィンナーを挟むだけだ、トマトソースとマスタードはセルフでかけ放題
これで1個銅貨7枚!
ちなみにマスタードはスキルの「店」で購入した物を使った手抜きだ、作り方を調べたけどちょっと面倒だったから仕方あるまい
少し値段が高い気がするけど他の飲食店の値段を参考にしたからこれが妥当だろう、見た目は元世界の専門店のサンドイッチって感じだし
サイズもかなり大きめだし、お値段分の価値はあると思う
商品名は『ウィンナーサンド』にした、そのまんまだけどな(笑)
ホットドックって冷静に考えたら意味が分からんし、分かりやすい方が良いだろう
おっと!
さっそく客が来たから接客はメリルに任せて、俺は鉄板でウィンナーを焼きながらウィンナーサンドを作っていく
「いらっしゃいませ、何個買いますか?」
「うーむ、パンに具材を挟んでいるのか初めて見る、ウィンナー?は何か分からんが旨そうだ♪1個くれ」
「はーい1個銅貨7枚です、ソースはかけ放題なのでお好みでどうぞ」
「ふむふむ、ソースかけ放題で2種類も、、、、、では先ずはひとくち・・・うんめぇー!!なんだこりゃあ?!」
「おい!てめぇ!後がつかえてんだソースの前で食ってんじゃねぇ!!」
「おっおう、すまん直ぐ退くよ(汗)」
最初の客のリアクションが良かったのか、その後もウィンナーサンドの売れ行きは好調だった♪
皆ソースの色にびっくりしながらも旨そうに食べてくれている
程なく用意していた100個を完売、銀貨と銅貨で一杯になった袋を抱えながらメリルもホクホク顔だ♪
この調子だと従業員は早めに増やさないとけないかもなぁ
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side:とある商人
私はそれなりに大きな商会の商人、父が作った商会を継いで大きくする為に修行の旅をしている最中だ
この街は大商会の支店も多く、行商人も沢山立ち寄るこの街なら商会を大きくする手掛かりがあるんじゃないかと思ったのだが、今のところ成果は無い
仕方なく宿に帰ろうと歩いていると、空き地で何やら露店の準備をしているのを見つけた
初めて見る細長いパンに野菜を挟んでいて、あれはレタスか?
露店でレタスとは珍しい、それに見た事ない棒状の何かが箱に山積みになっている
まだ見ぬ未知の食べ物、、、商人の血が騒ぐ!
これは是非とも食べなくてはならん!
ラッキーな事にまだ誰も並んでいない、私は準備をしている娘の前に立ち待つことにした
程なく娘が準備が出来たと声を掛けて来た、売っているのはウィンナーサンドという物らしい
うむ、やはり聞いた事が無い
柔らかそうなパンにも驚いたが、そのパンに具材を挟むとはなんと革新的な考え、ウィンナーという物も表面が香ばしく焼かれていて実に旨そうだ♪
ソースは2種類もあり、しかもかけ放題とは、なかなか出来る事ではないがこれでちゃんと儲けが出るのか疑問もある
もしかして変わり者の貴族が道楽でやっているのだろうか?
売り子の娘にソースだと言われた赤と黄色の鮮やかな容器なのだが、まさかこの色のソースが出てくるのか?!
さすがにこのように鮮やかな色のはずはないか(笑)
と思っていたら思いっきり鮮やかな赤と黄色のソースが出てきた!!
一瞬絵の具かと思って娘を睨んでしまった、いかんいかんソースの色に動揺するなど不覚!
反省して、まずはひとくち、あーんっと、もぐもぐもぐ、、、
「うんめぇー♪」
「おい、てめぇ!後がつかえてんだソースの前で食ってんじゃねぇ!!」
あまりの旨さについ声が出てしまった、そして後ろの男に怒鳴られてしまった(汗)
だがその男もソースの色に驚いている、黄色のソースの見た目にビビって少ししかかけていないとは馬鹿なやつだ(笑)
もっと沢山かけても良かったと後悔してるくらい旨いからな!
それにしても柔らかいパンに具材を挟むか、、、
その土地にしかない新しいサンドを作れれば商会を大きく出来るか?
こうしちゃおれん!
他の商会よりも早く新しいサンドを売り出さねば!!
海辺の街の大人気商品
『サバサンド』が誕生するのはもう少し先のおはなし。
つづく。
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