第16話 スタートラインとなんやかんや
商業ギルドを後にした俺とメリルは賃貸の部屋を探すために不動産屋に来たのだが
結論から言うと部屋はあっさり見つかった
見つかったというより選べる物件が無かったというのが正しい
この街は定住希望の人に対して圧倒的に物件が少ないのだそうで、紹介された物件も高齢の男性が飲食店をやっていたのだが最近亡くなった為にたまたま空いていただけ。
それに商業ギルドに登録していた事で信用されて部屋を借りれたみたい
読み書きが出来るだけでも信用度が違うけど計算が出来れば尚良し!
なのだけど、貴族や商人でも2桁の足し算と引き算が出来れば良い方で、掛け算と割り算に至っては商人といえどかなり悲惨な状況らしい
商業ギルドの試験にも掛け算と割り算は出たが、小学校の算数ドリルの1ページ目でやるような問題ばかりだった
そういう事で無事部屋を借りれたのだが、手続きがあるため住めるのは少し先の予定だ。
ーーーーーーー1週間後ーーーーーー
今日は借りた物件の手続きが終わったので、入居する為に元飲食店の建物の前にメリルとやって来た
「なぁメリル」
「どうしたの?」
「借り物とはいえここが今日から俺たちの家だ」
「うん」
なんとなくメリルの目がウルウルしている気がする、スラムで暮らしていたメリルとしてはやっぱりちゃんとした帰る家があるというのは特別な想いがあるんだろうか?
「やっとスタートラインに立てたって感じだな」
「うん」
「ここが俺とメリルの商人伝説の始まりの場所になるんだ!」
「ふふっ、伝説ってなにそれ?なんだか凄くダサいけど
伝説作れるように私がちゃんと見ててあげるね♪」
メリルさん、やっぱあんたにゃ笑顔が1番似合ってるよ♪
「よし!早く中を片付けて準備しなくちゃ、今日から商人として仕事再会だからな」
「うん♪」
この1週間
俺はお気楽にただ遊んで過ごしていた訳ではない
肉屋の親父が樽いっぱいに動物の腸を持って来たから宿の女将さんとウィンナーを試作したり
柔らかいパンに合うメニューを考えたりしていたんだ♪
そう
柔らかいパンだ!
この世界、、、かどうかは知らんが少なくともこの街で売ってるパンは超堅い、無醗酵のパンだからというだけでは説明がつかないくらい堅い
それが最近柔らかいパンのレシピが商業ギルドから販売されたんだ
元世界のパンに比べればまだまだ堅いんだけど、スープに浸さなくても食べれるだけで充分だろう
まあ俺がレシピを登録したんだけどな(笑)
果物から作る酵母と発酵パンのレシピなんだけど、訳あってわざわざ隣街のギルドまで行って登録してきた
レシピは全商業ギルドに魔道具を使って共有されるけど、登録した場所が発祥の地とされて観光名物的な扱いになるらしい
この街には既にトマトソースやウィンナー等があるし、これからも増えそうだから色々と配慮した結果なんだ
そういえば数日前から女将さんのところで、トマトソースとウィンナーとオムレツを食堂で出し始めたんだけど、さっそく話題になっている
トマトソースの赤い色が衝撃的らしいけど、味は好評だからレシピの売上も期待している♪
それと商業ギルドで委託販売をしている干し芋の売上も好調だ
だがしかし
干し芋の売れ行きを確認しに行った時に職員さんから
「ドライフルーツとはなんですか?!」
と問い詰められてしまった、商業ギルドにはドライフルーツの事は話すのをすっかり忘れていたよ(汗)
露店で売ってた時の客には商人もかなりいたから、そこから噂が広がって伝わったんだろうなぁ
結局ドライフルーツと、何故か干し肉も今後ギルドに卸す事に決まった
なんやかんやで売上額が凄い事になっているのだが、ある程度お金が貯まれば経済を回すって事も考えないと駄目だろう
これも異世界小説ではよくある展開、いわゆるテンプレだからな
そうなると次は商売を大きくする為に必要な従業員の確保
裏切らない従業員、すなわち奴隷の購入か・・・
奴隷、、、訳アリ、、、トラブル、、、フラグ、、、etc.etc.etc.etc
つづく。
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