第2章 胎動
第14話 マーガリン派
朝、目が覚めるとそこは、、、
もはや見慣れた宿の天井だった
異世界に転生したのはいまだに夢なんじゃないかと思う時があるけど、現実なんだよなぁ
ベッドで横になりながら今日の予定を確認していると、水を入れた桶を持ってメリルが部屋に入ってきた
「おにいちゃん起きてたんだ、おはよう」
「おはようメリル」
まだ夜が明けて間もないが電気の無い世界の朝は早い
顔を洗いながらメリルに背中を拭いて貰うのも当たり前の光景になりつつある
さてと
朝食のメニューに悩むけどここは異世界小説だと何故かよく登場するホットケーキにしよう♪
幸いにも俺はスキルの「店」でホットケーキミックスが買えるという便利なチート能力があるからな
ただしカセットコンロ等の元世界の道具をメリルに見せるのはまだ止めておいた方が良いかもしれない
魔道具だと言えば問題無いかもしれんけど、何処で噂が広がって面倒事が転がり込んで来るか分からんから念の為だ。
とにかく部屋でホットケーキは作れないので宿の厨房を借りようとメリルと1階にやって来ると、掃除をしている女将さんがいた
「「女将さんおはようございます。」」
「2人ともおはようさん、今日は随分と早いね、出掛けるのかい?」
「朝食を作るのに厨房を借りたくて、、、良ければ女将さんも一緒に食べませんか?」
「ふふふ、あんたのそういうところがあたしは好きだよ♪」
なんだかよく分からんけど、俺は宿の女将さんに気に入られたらしい
とにもかくにも厨房を借りてフライパンで手際よくホットケーキを焼いていく
焼き上がったらマーガリンを乗せて完成、ちなみに俺はバターよりマーガリン派だ!
スキルの「店」でメイプルシロップ・・・
は値段が高いからメイプル風味のシロップを購入して、椅子に座っておとなしく待っているメリルと女将さんの2人に持って行く
「お待たせしました、お好みでシロップかけて下さいね、それじゃあ、いただきます」
「「いただきます」」
2人は最初はシロップをかけずに食べるようだ、ナイフで切ってから口に入れるとしばらく放心してから目を見開いて、俺とホットケーキを交互に見てからバクバク食べ出した
どうやら気に入ったらしい
「おかわりはいっぱいあるけ」「「お願いします!!」」
2人同時に食い気味に来たね(笑)
とても気に入ったと受け取っておこう、敬語なのが少し気になるけどまあ良いだろう。
2人に追加のホットケーキを皿に載せてあげると、次はメイプル風味のシロップをかけるみたいだ
「「ん~~~おいしい~~♪」」
おぉ!
今度はハモってる(笑)
「なんだいこの甘いソースは?!甘いんだけど、なんかこう、、、旨甘な感じだね」
おそらく果物意外の甘い食べ物は初めてなんだろうけど、言いたい事は分かる
しかしこのシロップの説明はどうするか、これはメイプル風味であって本物のメイプルでは無い
そもそもメイプルの木がこの世界にあるのかどうかも分からんけど、まあ良いか
「これはメイプルっていう木の樹液を煮詰めた物ですよ」
「木?こんな甘い樹液の木があるとはねぇ」
「そういえば女将さんはウィンナーって知ってますか?動物の腸にミンチ肉を詰めた物なんですけど」
「動物の腸っていえば内臓の事だろ?北の方の地域では内臓を食べる習慣があるらしいけど、この街じゃ内臓は食べないからねぇ」
「ウィンナーはトマトソースに合うんで、宿のメニューに良いかと思ったんですけど無いなら仕方ありませんね」
「そのウィンナーっていうのは動物の腸さえあれば出きるのかい?」
「出来れば香辛料も欲しいですけど、なくても充分美味しいのが作れますよ」
「香辛料は難しいけど内臓は廃棄するだけだからね、使い道ができれば肉屋も喜ぶよ」
この後も俺は女将さんとトマトソースに合う料理について話したのだが、予想通りパスタやグラタンといった料理は無いそうだ
ワインは街の酒場にもあるらしいから、おつまみとしてチーズもあるんじゃないかと思ったがこれも無し、普及してないだけの可能性もあるが、、、
とにかくこの世界
食に関してとことん発展していない、小麦粉はあるから粉物なら普及しやすいかな?
まあそのお陰で料理の知識チートで儲けれそうだから問題無いんだけど
朝食を食べ終えた俺とメリルは商業ギルドに行くまでの時間潰しに街をブラつく事にした
ついでに冒険者ギルドについて街の人の評判も聞いてみるつもりだ
昨日いちゃモンを付けてきた2人組が冒険者ギルドの職員だって言ってたから、どうせロクでもない組織だろうがな
現代日本の知識と異世界小説を読みまくって得た知識、その両方を持つ俺に絡んで来たことを後悔させてやる
元日本人らしく暴力は無しでだ!
今はまだ何も思いついてないけどな(笑)
つづく。
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