第13話 テンプレは突然に
商業ギルドを後にした俺達は、干し芋を売るためにいつもの広場に向かう
「メリルは新たに人を雇う事についてどう思う?」
「いいと思うよ、おにいちゃんの商品なら絶対売れるから人手は多い方が良いよ。」
とはいえ信用出来る従業員となるとテンプレなら奴隷を雇うところなんだよなぁ
その前に宿屋暮らしから脱出して部屋を借りるのが先だな
などと考えているうちに広場についたので準備をしていると早くも列が出来始める、今日もはりきって売りますか!
ーーーーーー1時間30分後ーーーーー
無事に干し芋1000枚を売り切った、今日はドライフルーツを欲しがる客も多くいたため売上げは約50万円になった
よく考えたら1日で数ヶ月分の生活費を稼いでる事になる
しかも仕入れはスキルの「店」でmpを対価にして購入しているから実質無料同然だから売上はそのまま利益になるし、元世界の感覚だと個人の稼ぎとしたらスゲェーな、今更だけどな(笑)
「おいっ!そこのお前!」
急に声をかけられ振り向くと、制服だろうか?お揃いの役人っぽい雰囲気の服を着た2人組が立っていた
「はい、なんでしょうか?」
「最近珍しい保存食を売り始めたっていうのはお前か?」
「珍しいかどうかは分かりませんが、数日前からここで干し芋とドライフルーツを売っていますけど」
「フンッ、ガキの癖に一人前の商人気取りとは生意気だな、俺達は冒険者ギルドの職員だ、お前のせいでギルドで売ってる保存食の売上が減ってんだよ!!」
「お前が売ってる保存食を食べた連中は、
ギルドのクソ不味い保存食は2度と食わんって言ってんだぞ!どうしてくれんだ!!」
まさかここでテンプレ展開
『ガキの癖に生意気だ』が発動するなんて
このテンプレは面倒だからあえて冒険者ギルドを避けていたというのに
しかも言ってる事が完全に言いがかりだし
「だが俺達もオーガじゃねぇ、保存食ひとつ銅貨1枚で買い取ってやるからギルドに卸せ、断ってもいいがこれからもここで商売出来ると思うなよ!ギャハハハハハ」
一方的に言い終わると下品な笑い声を響かせながら2人組は帰っていった
あいつら日本じゃ『鬼』と言う所を『オーガ』って言ってたなさすが異世界
まっ、どうでもいいけど
俺から言わせりゃあいつらは人の皮を被ったゴミだ、ゴミに売る物など何ひとつ無い!
2人組が来てから俺の後ろに隠れていたメリルに声をかける
「もう大丈夫だよ」
「おにいちゃん、どうするの?」
「あんなゴミのような奴等の言う事なんか聞く必要ないよ、これから干し芋は商業ギルドで売って貰おうと思うんだ、それにそろそろ部屋を借りて腰を落ち着けたいからね」
「えっ?・・・宿出ちゃうの?わたしもう必要ない?」
「何言ってるんだよ、『俺達』の商売はこれから面白くなるんだぜ、だからメリルにもバリバリ働いて貰うに決まってるだろ。」
「・・・」
「それに、従業員の事とか次に売り出す商品の事とか俺一人で出来ると思う?」
「そっ、そうだよね、おにいちゃんは頼りないからわたしがちゃんと見ててあげるんだから!」
「頼りにしてるよ。改めてこれからもよろしくな、メリル♪」
「うん!こちらこそよろしくね♪」
メリルさん、やっぱあんたにゃ笑顔が1番似合ってるよ!
夕陽に照らされ眩しそうにしているメリルの横顔を見ながら
俺はいつの間にかこの子の笑顔をずっと見ていたいと思うようになっていた。
第1章 完
◆◆◆◆◆
今回で第1章完結です。
閑話を挟んで新章開始となりますので、今後もよろしくお願い致します。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。