第3話 レベルアップ
『パラララ、パッパッパー♪』
頭の中にあの有名な曲が響き渡った、どうやらレベルが上がったようだ。
さっきまでふらついていた足下も、今はなんともないので早速ステータスを確認してみる事にした
「ステータスオープン」
名前 長倉真八
種族 人
年齢 20
レベル 2
ユニークスキル 収納 店
ちゃんとレベルは上がっているのだが、相変わらず表示される情報が少ない事に不安を感じるなぁ
だけどこれで食事に困る事はないしレベルが上がって魔力が増えれば、商品を購入して売るだけで大金を稼ぐ事も容易だろう
なんせ対価は魔力だから実質仕入れはタダ同然なんだからな♪
それに、ステータスを見たら分かるけど戦闘に関する能力が皆無なんだよなぁ
これはもう知識チートで頑張るしか選択肢ないでしょ!
そうと決まれば一刻も早く森を脱出して街を目指さなければ、目の前に転がっていたおにぎり二個を素早く口に放り込み水で流し込む
おにぎりの包みとペットボトルを収納に入れてから、ユニークスキルの「店」からコンパスを購入しとりあえず西を目指して歩き始めた
歩き始めて約三時間、いまだ森を抜けられずにいる、太陽の位置から考えて日暮れまでは後二時間程度だろうか?
ここが異世界なら空に見えるあれを『太陽』と呼んで良いのかどうかは分からんけど、夜の森とか恐くて無理過ぎる!
なんとしてでも街もしくは人の通る道を見つけないと、初日から死亡フラグが立ちかねん
歩くスピードを上げて、さらに一時間程経過しただろうか突如森が途切れた、前を見ると200メートル程先に高さ10メートルくらいの立派な石壁があった
森から出てきたせいか門らしきものは見当たらないので石壁に沿って歩くと、ほどなくして人の列が見えた
石壁の向こうに行く為に並んでいるのだろう
早速その列の最後尾に並び、森を歩きながら考えていた作戦を実行に移すべく、俺の前に並んでいる冒険者風の4人組に声をかけた
「こんにちはー、皆さんは冒険者の方ですか?それとも傭兵ですかね?」
「オゥ、俺たちは冒険者だがなんか用か?
」
答えたのはショートソードと盾を持った男だ、残りの槍を持った男とデカイ背負い袋を持った男
細身の長剣を腰のベルトにさしている女は、訝しげにこちらを見ているが俺は気にせず話を続ける
「実は商人になりたくて村から出てきたんですけどね、村ではお金が無くても生活出来てたからお金を持ってないんですよね、
そこで冒険者のみなさんに商品を買って欲しくて声をかけたんです。」
「へぇー、商人になるのか、でも買うかどうかは商品をみてからだな、何をもってきたんだ?」
そう問われた俺は、森を出る前にあらかじめスキルの「店」で購入しておいた麻の袋から、これもあらかじめ購入しておいた干し芋を取り出した
「俺が作った干し芋を持ってきたんですけど、みなさん好きですか?」
当然の事ながら俺が作ったとかは嘘なのだけど、芋をスライスして干しただけのシンプルな食べ物だから疑われる事も無いだろう
「干し芋?なんだそれ、干してあるんだったら保存食か?」
「え?、、、干し芋知りませんか?とりあえず試食して美味しかったら買って下さいよ」
試食用にあらかじめ小さくカットしておいた干し芋を配る
4人は受け取った干し芋を口に放り込みモグモグしていたのだが、急に動きが止まった
「干し芋はあと何枚あるんだ?」
「え?えぇーと、30ま・・・試食で1枚食べたから残りは29枚です。」
急に冒険者の女が俺の腕を掴んで迫って来たから驚いたけど、この様子だと干し芋を買ってくれるのかな?
「大銀貨1枚分の金で残りを全部売ってくれ!!」
「大銀貨1枚?!お釣りは無いんですが(汗)」
「こんなに旨いんだから、街で上手くやれば大銀貨1枚以上で買う奴も居ると思うよ
だから騙されて安く売っちゃ駄目だよ。支払いは細かくなっちゃうんだけど銅貨と銀貨合わせて大銀貨1枚分な♪」
急な事に驚いたが、俺は遠慮なく頂く事にした
「まいどありー♪」
代金を受け取り干し芋を女に渡すと、満面の笑顔でモグモグ食べ出した、その様子を空の小袋を握りしめながら悔しそうに仲間の男達が見ている
どうやら金の持ち合わせが無くて干し芋を買えないようだが
これで心配事のひとつだった『初の金稼ぎ』をクリアだ!
数多の異世界作品の主人公達も、初めて金を稼ぐ時は苦労をしていたからな
その苦労を知っていれば対策を考えるのも容易いというものだよ
ふははははははは!
つづく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。