DEPTH008 再出港

 2年の間に、世界情勢は大きく変化していた。魔法文明を主軸としている魔法同盟と科学こそ最高の戦力をモットーにしている科学同盟との間に、火蓋が切れようとしていた。事の発端は、3日前にアレストニア王国の竜騎軍が隣国のマカドニア科学連邦国を奇襲し交易都市を占領した事が主な発端である。


「沖野艦長、緊急です!」


 新しくなった艦長室で優雅にカクテルティーを啜っていた沖野おきの海斗かいと艦長の元に、息を荒くして入ってきたのは元アレストニア王国士官だったアレン・マードルド通信長だ。


 彼女は、息を整えると「先程、平文でアレストニア王国がマカドニア科学連邦国に侵攻し同時に宣戦布告を全世界に発表しました!」と話を切り出した。


「それは本当か!?」


「はい。 証拠の平文です。 どうぞ」

「・・・確かに、確認した。それで? 正当理由は?」


「おそらく、資源枯渇による強硬策でしょうか」

「――あり得るな。 よし、副長を呼んでくれ、緊急会議だ」


「了解です」


 その後、アレン・マードルド通信長が戻ってくるとその後ろに発令所勤務の全員が控えていた。


「現在、アレストニア王国が隣国、マカドニア科学連邦国に奇襲とも言える行動を取った。それについてだが、我々の国土情勢は現在不明だ。戦勝か敗戦か、未だ連絡が入っていない。よって、これから本国に戻ることにする。それと、もしもアレストニア王国軍が攻撃してきた場合は全火器管制無制限使用を令する」


「――艦長!」


 突然、広域電探レーダー装置を見ていた広域電探長レーダー手から声が上がった。


「ん?なんだ?」


「国籍不明の竜騎乗空軍が東から接近中!」

「距離は!?」


「えーっと、2,3キロメートルです!」


砲術長。国籍が判別出来るまでは、対空戦闘を禁止する」


「了解」


 その後、国籍が判別されて接近中の竜騎乗空軍が問題のアレストニア王国だという事がわかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る