勇者パーティは俺を離さない~美少女だらけの最強勇者パーティとイチャイチャハーレムしながら世界を救う~

すずと

第1話 勇者パーティが誘ってくれる

「リッタ様ぁ♡ 私のパーティに入ってくださいよぉ♡」


 耳から幸せな声が聞こえて脳みそがとろけそうになる。


『ベラール』という町の酒場で飲んでいる、俺──『リッタ・フィリップ』へ甘えた声で迫っ来てくれるのは、剣の勇者『ルナ・ハルヴァクス』だ。


 プラチナのミディアムヘアに美しい碧眼へきがん。いつもは白騎士みたいな恰好をしているのだが、今はアーマーとガントレットを外し、白を基調とした服装の清楚で麗しい姿をしている。


 彼女を見て綺麗だと思わない人はこの世にいないだろうと思える程の美少女。


 ルナは俺の右腕を抱きしめながら「お願いしますぅ♡」と耳を舐める勢いで懇願してくる。


「ルナ。それは……」

「リッタくぅん♡ こっち向いてぇ♡」


 ルナとは逆の耳からも幸せな声が聞こえてきて、俺の両耳は違うベクトルの甘い声で埋め尽くされてしまう。


 甘い吐息を感じながら反対方向を向くと、ルビーの長い髪をポニーテールにした拳の勇者『ローラ・ヴァレリー』の顔がすぐ近くにあった。


 琥珀こはく色の瞳で俺を見る顔は、たおやかで可愛い印象を与えてくれる。


 彼女は武闘家のような恰好をしているのだが、武闘家らしからぬ露出の多い恰好。それは可愛いの中に色気がある恰好なので、ローラの豊満に育った胸の感触を左腕で確かに感じ取れる。


「あたしと一緒に冒険しよ♡ ね♡」

「ローラ……。だから……」


 ローラへ答えようとすると、短いスカートを靡かせて正面から、ギュッと抱きつくように美少女がやって来る。


 由緒正しき賢者の服のスカートがなぜ短いのかは謎だが、真正面から思いっきり抱きしめてくれるサファイヤのショートヘア美少女は、キスできる距離まで詰めて淡褐色たんかっしょくの瞳で見つめてくる。


「リッタ……♡ フレデリカはリッタと一緒が良い……♡」


 人形の様に整った顔立ちから放たれる淡白な物言い。しかし、その中には彼女なりの甘えが入っているとわかる声。


 そんな彼女は杖の勇者『フレデリカ・アシュライ』である。


 大人しくお淑やかな幼さの残る美少女。しかしながら、その中にどこか艶やかさを備え持つ彼女。


「で、でもな……フレデリカ……」

「ちょっと!! なにしてるのよ!!」


 3人の美少女に囲まれていると、酒場のトイレから戻ってきた、これまたすごい美少女の怒号が聞こえてくる。


 透明感のある緑色のドレスに身を包み、黄金の長い髪をハーフアップにしたエメラルドの瞳の美少女。


 妖精王『エリス・ティターニア』が、どすどすと足音を立ててこちらの席にやってくる。


 いつもは端麗で優雅な雰囲気の妖精王様だが、この時だけはそうではなかったみたいだ。


「は、はしたないでしょ! 全員離れなさい!」


 ドンっと言い放つと、3人の勇者が冷めた目で妖精王を見た。


「そんなこと言って、エリスさん。本当はリッタ様とくっ付きたいだけでしょ?」

「なっ!?」


 エリスは顔を赤くして、ふんっ! と鼻を鳴らして顔を逸らした。


「だ! 誰がそんな奴にくっつきたいと思うのよ!」

「エリスちゃん顔真っ赤。こりゃ図星か。素直じゃないねぇ」

「エリス……。素直になれば4番手で許してあげなくもない」

「なっ!? わ、私がリッタの1番に決まってるでしょ!?」


 そんなことを言った後のエリスは、これでもかと言わんばかりに顔を赤くする。


「そ、そうじゃなくて! これはあれよ! わたし妖精王だから! わたし妖精王だから!」


 多分大事なことなのだろう。2回言い放った。


「妖精王的に、なんでも1番じゃないといけないのよ!」


 顔から湯気を出しながら言い訳の様に言っている。


「だったらエリスさんのその妖精王としてのプライドは崩れ去ってしまいますね」

「そうだね。妖精王のプライドがズタボロだ」

「なぜなら」

「「「1番はわたしだから」」」


 3人の声が重なった後、少しの沈黙が流れてたかと思うと。


「私が1番なんですけど!?」

「は? あたしなんだけど!?」

「フレデリカ、イズ、ナンバー1!」


 3人の美少女が、俺を中心に良い匂いを放ちがらも火花を散らしている。


「言っときますけどね、私、剣の勇者ですから! 王道ですから! 主人公ですから!」

「はぁー。ヤダヤダ。古い、古い。今時剣=主人公ってのが古臭い。時代は移り変わって、拳だよ! 拳!」

「接近戦の汗臭い2人は勝手に主人公争いをしてくれ。フレデリカは主人公でもなんでもない。リッタの嫁」

「「ああ!?」」


 先程の甘い声は何処へ……。ものすごいドスの効いた声でフレデリカを睨みつける2人。


「リッタ様の嫁は私ですけども!?」

「なに言ってんのさ。リッタくんの嫁はあたしだよ!」

「汗臭い拳の勇者はお呼びじゃなくてですよ!」

「あんだと!? いつも汗だくのきみ言われたくないよ! というか、アーマーとかガントレットとか蒸れて凄い臭いしてるでしょ? あたしはその分、軽装備だから蒸れの心配なし」

「ぐぬぬ」


 ルナは悔しそうな顔を見せたが、それも一瞬。


 手を伸ばして、ルナはローラの脚を触った。


「ひゃ!」

「これはこれは。物凄い筋肉ですねー」


 嫌らしい言い方でルナが声を放つと、そのまま口撃を続けた。


「これではローラさんは筋肉が邪魔でウェディングドレス着れないでしょうね? あなたはせいぜいリッタ様と私へ祝福のライスシャワーでも撒いておいてくださいな」

「このやろ……」


 怒ったローラはルナの髪を、ぐしゃりと触った。


「白髪のババァのくせに」

「あ! ローラさんが言っちゃいけないこと言った! 言っちゃいけないこと言った!」


 ルナが幼い子供みたいな声を出して、少し涙目になっていた。


「フレデリカからしたら、どっちもババァ」

「「ガキは黙ってろ!」」


 そこは剣と拳の勇者がシンクロするのね。


「ウワーン。リッタ。ババァズがこわーい」


 どこからどう見ても怖そうと思ってない物言いで、正面からギュッと抱きついてくる。


 フレデリカの匂いが強くなる。


「「あ!?」」


 その様子を見ていたルナとローラが、すかさず左右に抱きついてくる。


 もう、美少女の匂いが混ざり合って、クラクラする。


 全然違うけど、物凄く良い匂いが前、左右からすると雄としての反応を示してしまう。


 ずっとこのままでも良いと思えるクラクラだ。


「リッタ様ぁ♡ 私を花嫁にしてくれますよねぇ?」

「リッタくん♡ あたしを妻にしてくれるよね?」

「リッタ♡ フレデリカ。結婚したい」


 いきなりの求婚に戸惑っていると、目の前の妖精王がキレた。


「あんたらああああああ! 今はそんな話をしてる場合じゃないでしょおおおおおお!」


 妖精王の叫びは酒場に大きく轟いた。


 その場に居合わせた他の客もこちらに注目するほどの声。


 それなのに。


「リッタ様ぁ? 子供は何人欲しいですかぁ? 私、頑張っちゃいますよ♡」

「子供ができても、たまには2人っきりでデートとかしたいね♡」

「フレデリカ、小さいけど、リッタを受け入れる覚悟はできてる。優しく貫いてね♡」


 妖精王の声は3人には届いていなかったみたいだ。

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