第3話 接近

車に戻り、二人は会社に向かう


「あの、」


窓を見つめるナコにユウキが話しかける


「でもって」


「えっ?」


「さっきでもって言ってましたけど、、

旦那さんの事好きですのあと。」


ユウキはさっきの続きがどうしても気になった


「でもなんかあるんですか?」


「あーあ。でも、退屈じゃない?って」


「退屈?」


「そう、退屈」


「確かに、退屈…ですかね」


「雨降ってきた」


ナコが窓の外を指す


「あっ本当っすね」


小雨だった雨がどんどん強くなり

視界を見えなくする


「視界悪いっすね」


「休憩します?」


「え」


「雨が止むまで一旦休憩します?」


「あっそうすね、じゃどっか店でも入りますか」


「ラブホ行きますか?」


「え、カジタさん何言って…」


突然の発言に戸惑うユウキ


「ラブホ行きますか?」


「何言ってるんすか、ラブホって」


「嫌なら良いですけど…」


「いや、嫌とかそう言うんじゃなくて」


「休憩って言ったらラブホかなって」


「ラブホがどういうとこするとこか分かって言ってるんですか?」


「はい」


「俺のこと誘ってますか?」


無言



「俺、二人きりになって何もしないとは限らないですよ」


何言ってんだ俺…


「何か出来るんですか?」


「え?」


「いや、トモダさん何もしなさそうだから」


「それは俺の事なめてますよ、俺そんな優しい男じゃないすよ」


「うふふ」


「うふふって…」


「じゃもしこの道にラブホがあったなら」


ナコが前に指を刺す


「入りましょう」


「カジタさん…


欲求不満なんすね、」


「退屈なんです」


「退屈って…」


ユウキは視界の悪い雨の中車を走り出す

行先にラブホがあることを願いながら

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