第21話③
ようやく、施設に降り立ったミアはそこにいる五人の男性に目を細めた。
彼らの羽は、黒?
つまり、悪魔?
珍しいなと思いつつ、交流が進んでいる現在、誰がどこにいようがとがめられない。
しかし、ミアは彼らの羽の色が妙に引っ掛かった。
たしかに、黒くはあるけれど、いつもジャスティンの羽に見慣れているミアにはどこか不自然に思えたのだ。
男性たちは、施設の服を着た職員――リックを囲んで大声を出している。
「どうしてくれるんだよ。あんたたちのバザーで買った石鹸で顔を洗ったら、顔に赤い湿疹ができたんだよ」
「石鹸だけじゃないぞ。クリームも酷いものだ。かゆくて、かきむしって血が出たぞ」
「責任者出せよ。噂によると、きたない金で儲けてるって話だぞ。ほら、出せ!」
「そうだ、この責任を取れ! 金払え!」
「なんなら、この施設、壊してもいいんだぞ!」
近くにいる人たちも、悪魔相手には不用意に手出しはできないと遠巻きに様子を伺っている。
天使と悪魔の友好は結ばれたけれど、実際のところはこうだ。
天使は悪魔を恐れ嫌っている。
悪魔が天使をどう見ているのかわからないけれど、多かれ少なかれ同じような感情はあるのだろうと想像できる。
なんだか、変だ。
こんな考え、不自由だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます