でもまだ

穏やかな

心地良い

春の風になって

あなたの胸に飛び込み

そのまま吸い込まれたい

でもまだ

風は少し冷たくて



爽やかな

初夏の浜辺

白い波となって

あなたの素足に纏わり

砂の中へと誘いたい

でもまだ

波の音は遠くて



密やかな

秋の夜更けに

月の光となって

あなたの頬に手をあて

そっと包んであげたい

でもまだ

その涙は乾かせなくて



静やかな

冬の遊歩道で

悪戯な雪になって

あなたの唇に舞い降り

そっと口づけたい

でもまだ

雪は少し霙混じりで



鮮やかな

夕焼けに包まれ

高鳴る鼓動

あなたが恋しい

でもまだ

恋と言うには早すぎて

心は、また彷徨って


涙は

どんなに悲しくても

涙が悪い訳じゃない


でもまだ

少し幼くて

言い訳を探して


戸惑ってばかりで


季節だけが巡ってゆく










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