肌掛け布団

窓を少し開けたままで

冷たくなった朝の空気に

肌寒くなって目が覚めた


こんな朝には

誰かの人肌が恋しくて

ついあなたの

ぬくもりが欲しくなる


でも頭の霞みが晴れてきて

ふと我にかえる

今どうして

「あなた」を思ったのと


肌掛け布団を持ち上げて

顔を埋めた

もう一度

微睡の中に潜りたくて

もう一度

心を確かめたくて


でも白々とした

朝の空には

もう星灯りなど

見る影もなくて


肌掛け布団は

やっぱり肌掛け布団でしかなくて


諦めてベッドから出ると

少し開けたままの

窓をそっと閉めた


二重ガラスの窓が

朝の空気を遮断すると

静まり返った部屋には

少しだけ

ゆうべの残滓が漂う気がした


今ベッドに戻ったらと

そう思ったとき

時計のアラームが鳴り響いた


部屋はもう

すっかり目を覚ましていた


顔を洗わなくっちゃ


おあずけになった

正直な心


布団かけておこうね



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る