プロローグ
どうして俺は、この化学はびこる現代でファンタジー存在である魔物と戦っているのだろう。
「
「おうよ!」
目の前には、巨大なゴーレムが腕を振るい、すぐそばにまで岩を飛ばしてくる。
下手したら俺の体が吹き飛んでしまいそうな危機的状態だが、どこかそれを楽しんでいた――
***
俺は、
そんななか、小遣い稼ぎとして学校に黙ってアルバイトでも探していた時、こんなポスターを見つけた。
〈現代ダンジョン部、部員募集中!〉
意味の分からないチラシだった。
この果ノ先高校にはプラモ部やらオリエンテーリング部やら意味の分からない部活がたくさんあると感じたものだが、これはそれに輪をかけて訳の分からない部活だなあと感じた。
ダンジョン、この現代にそんなものがどこにあるのだろうか。それを自分で証明するかのようにわざわざ「現代」と部活名につけてある。
しかも、生徒手帳に書いてある部活一覧にもこんなものはなかったし。
だが、俺はそれを何か運命のように感じた。
感じてしまったのだ……
そして俺は軽率に現代ダンジョン部の部活説明会に参加し、そして――
***
「
「任せろ! ……といいたいところだがもう少しでヤバいな」
都武はゴーレムの腕と剣でつばぜり合いし自力で止めている。どこからそんな力があるのか。それは簡単な問題だ。魔法により体を強化されているのだ。
「しかし奴に本当に弱点なんてもんがあるのか!?」
「あるさ、合理的に考えればな!」
都武が叫ぶ。
「ゴーレムっていうのはそれを示す文字が彫られている。それはここのゴーレムも同じさ。と前に先輩に聞いたことがある。だからその文字を削りさえすれば……」
俺たちは、その都武の作戦に乗り文字とやらを探しているのであった。
たったったっ、と駆ける音が響く。
「井荻さん、ちょっとサポートお願いしますわ!」
「おうよアリス! 無茶すんなよ!」
黒いゴスロリ姿のアリスは自分の背ほどもある鎌を背負いながら、勢いよく地をけり――高く、高く、ゴーレムの頭上を越えるよう飛び上がった。
「――ありましたわ! 頭の後ろの首筋の辺り!」
「よく見つけたなアリス! 目がいいな!?」
「あらどういたしまして。私にはこの程度造作もありませんわ!」
そのまましゅっと鎌を振り、ゴーレムの首筋にかすかに書かれている――俺からはシミか何かにしか見えないが――文字をザクっと切り裂いた。
がくり、とゴーレムの体が崩れる。
「よし! 今ですわ!」
その言葉を聞いて、俺も続くべく柄の長い斧を握り直し、地面をかけ、高く、飛び上がる。
「さてゴーレム……とっととやられて、俺の昼飯代の足しになりやがれええええ!!」
俺は、勢いをつけ斧を振りかぶった。
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