幕間2
その部屋には鏡があった。
「鏡よ鏡、世界で一番可愛いのはだあれ?」
少女は鏡に声をかける。
「それはあなたです」
そうすれば、いつものように鏡の中から声が返ってきた。
幼い少女にはそのことに対する一切の疑問がないらしい。
「ふふ、よかったあ」
「しかし十年後は違います」
「十年後?」
「ええ、十年後……東の地で暮らすご令嬢があなたの美貌を抜かしてしまうでしょう」
いつもと違う解答に少女は戸惑う。
「じゃあ、どうするの?」
「私にあなたの魔力をください。そうすれば必ずやあなたを誰からも愛される国一番の美少女にして差し上げます」
「本当に? 本当に誰からも愛してもらえるの?」
鏡の中にいる女性……銀色の髪に赤い瞳の女性は笑みを浮かべた。
「ええ。ですから、手を伸ばして……そう、念じてください。我がプリンセス」
薄暗い部屋に、不気味な声がこだまする。
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