あとがき ヴィーシャの愛

「ヴィーシャの愛」編完結しましたので、

キャラクター解説をこの時代背景を交えて紹介します。


 ヴィーシャは「最高の女たらしの海賊」というテーマで思いついたキャラクターです。いつも女を侍らせてモテモテ。それなのにどこか憎めない。


 ヴィーシャは現代においては褒められた素行の男性ではありません。一人の女性を愛することはせず、幾人もの女性を愛しています。


 この時代の女性の地位は非常に低く、治安が悪い町で身寄りのない少女は売り物になるしかありませんでした。それをサハラが拾ったり、ヴィーシャが自分の愛人として迎え入れたりしています。有名なチャービル家の男の愛人と知れば、悪人たちも手を出すことをしないとヴィーシャは知っています。また、愛人たちもそういうヴィーシャを慕い、愛人同士も争うことは避けています。平和で豊かな町には、女性の笑顔が必要不可欠。ヴィーシャは自分の家と血を足掛かりに女性が活躍できるよう取り計らっていました。

 母親のサハラも、ヴィーシャの女癖の悪さに対して目を瞑っていたのは、ヴィーシャのそういう才覚を見抜いていたからでした。

 ミリアに恋していたヴィーシャは彼女のように生きられるよう、女性に優しくありたいと思っていたのでしょう。

 そして兄のマラーに対しては、嫉妬と羨望に似た感情を持っていました。幼い頃は張り合ったり喧嘩もしていましたが、マラーの心境の変化と共にヴィーシャも次第に変わっていきました。最果ての海へ心奪われたマラーといつか別れる日が来ると感じたヴィーシャは、マラーと離れることを寂しく感じ、兄に心配されることを嬉しく思うようになったのです。兄よりも背が高くなってもまだマラーに甘えていたいという弟心でした。


 最後の話で、彼ら兄弟の顛末は軽く触れておりますが、時代の流れと共に海賊たちは姿を消していきます。それでも彼らは家族であり続けようとしました。彼らの晩年の話もいつか語りたいと思っています。

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