2022.12.12


 三十一文字というガチガチの縛りプレイで無駄を削ぎ落した、非常に純度の高い日本語表現が短歌なのだろう、というイメージが変わりつつある。

 別に字数制限が厳しいから純度高いってもんでもないなって。

 年内に百首いけるかなとかほざいてた短歌、今月に入ってからすっかりご無沙汰だけど、自分ではこれもインターバルのつもりなので、これまで作った短歌の中でお気に入りを探したり、繰り返し音読してみたりしながら「短歌って冗長でも良いし、三十一文字を無駄遣いした中身空っぽのものでも良いんではないか」などと思った。一般的な良し悪しとかは知らないけど、私はそういうのも好きだな。


 相変わらずやるぜやるぜという情熱は燻ぶるばかりで燃えるに至らない。

 でも今日はなんとなく手を動かしたくなったので、特に先のこととか設定とかを考えずに短編小説の冒頭だけを書いてみた。


 ああ、やっぱりこの感じは好きだな。

 ノープランで気負いがないせいもあろうが「今頭の中にぼんやり見えているものはこんな感じです」と慎重に手で伝える繊細な作業が好きだ。絵を描くときも長い手紙を書くときも、脳と指先とがシンクロしたみたいになって、体感時間が溶けて霧散するほど集中力が高まる感覚を愛している。正直言えば、三十一文字よりもずっとずっとこの作業が好き。


 大人になってみるとわかるけど、この集中力の霧の中に入り込むみたいなの、小さい子どもは入るのがすごく早い気がする。少なくとも自分の感覚ではそうなんだけど、どうだろう。


 それとも私が公文式やってたから? 公文キッズだから特別そうなの?


 なんか気が付いたらアレッて感じでヨチヨチしながら公文に行かされてたクチなので、今となっては公文式をやってた恩恵の面影がどこかにないかといつでも探しているよ。あるはずもないことはないのではないか。あってくれどこかに。

 いや、正直大人になってから「公文式って何……?」て折に触れて思うんだけど、頼むから行った甲斐どこかにあってくれ~。まだあんよもおぼつかない頃にプールの中にブン投げられて自然と浮いて来るのを待つとかいう、他県民から「埼玉だけにある洗礼の儀式では」とか言われるスイミングスクール以外で、私が受けた唯一の英才教育っぽいものが公文式なのだから。



 この目に見えないものを見せるために手を動かす作業、このうえ物語が付随したらもっと美しくなって楽しさマシマシなんだけど、残念ながら今日は何も思いつかなかった。


 中古で買った単行本が今日も一冊到着。いらっしゃい。

 しかし状態「良い」って書いてあったのに、蓋を開けてみれば予想の十倍くらいのバッドコンディション。

 すごい! これまでも結構Amazonで中古本買ってるけど、ここまでの大嘘つかれたの初めて!


 二年くらい前に出版された初版本のはずなのにすごい焼けてるしすごいヨレてるしなんならちょっと潰れてもいる。


 でもホラー小説のアンソロジーゆえ、この不自然なまでの傷みが逆に良さみを醸すじゃん。

 この嫌な感じを求めてたまにわざと中古で買っちゃうまである。ヒヒッ……。



 商店街で年末年始スタンプラリーをやってるので地味にレシート集めしてたんだけど、それとは別でお正月のガラガラ(文房具屋さんで聞いた原文ママ)もあるらしい。えーっ知らなかった!


 ガラガラのほう、合算できるの知らなかったから、レシート何枚か捨てちゃったよ~。

 などと文具屋さんでしみったれたことを言っていたらスッ……とスタンプラリー用紙を差し出された。

 するとそこには文具屋さんのスタンプ……だけではなく、なんと、その隣には八百屋さんのスタンプまでもが捺印されているではないか!


 俄然テンションが上がった。この辺の商店街にざっくりと幸あれ。

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