2022.10.27


 パンズラビリンスって冒頭のほうで、主人公の養父が街の親子をめちゃくちゃに殴殺するシーンがあって、初めて観たときは「長……これいつまで殴るんだろ……」と思ったものだが、レジスタンスの壊死した手足を切断するシーンは暗転のみで終わるんだよね。医者が悪役と対立してるキャラだったから? 単に治療だから?


 私はホラー映画ってあまり観ない。家族が狭い家の中で観てるもんだから、実家にいた頃はスプラッタだのゾンビだのいろいろ受動喫煙してきたけど、それで決定的に「好きじゃねえや」とわかった感がある。


 だけど今となっては逆にそういうのが好きな人や作りたい人の気持ちがわかるかもしれない。誰しもナメクジに塩かけてみたいと思うことはあるし「なあなあ! このピアノ線でここからここまで切ってみたらどうなるんやろうな?」と想像して思いついたのがナイスな絵面だったら、まあ材料とエフェクトを駆使して動画作ってみたくもなるんだろう。

 のちのゴーストシップである。


 私はグロいより痛いのがダメなので、ゴーストシップなんかはへっちゃら、パンズラビリンスもまあまだ良かった。でもホラーでも何でもない、おろしや国酔夢譚は西田敏行が良い演技するせいで痛ってえ痛え。

 あと漫画で読んだだけだけど、あずみよ。毒を触っちゃったあの子の名前は忘れたけど、結局切り落とすのが遅くて死んじゃうんだよね~。


 なまじ「患部を切り落とせばワンチャン命助かる」という有益な知識が庶民レベルにまでシェアされてたために、中世以降の映画ってやけに痛ってえのが多い気がする。

 これは思わぬ寺子屋の弊害だ。識字率の高い鎖国日本、グロテスク要素の宝庫。


 手を洗えるくらい水が沢山あって、トイレは意外と清潔で、湿度高いから食中毒や殺菌滅菌に対する意識が超絶に高く、そんでもって寺院仏閣を通じて上質なライフハックがあらゆる家庭にシェアされて、あと仏教的コンプライアンスとかで死体の埋葬なんかもそこそこきちんとしていたようだし、何より「触らぬ神に祟りなし」というマインドは衛生観念の点で超良い仕事したと思う。

 そんなに手を尽くしても予防・解決できない病気や謎の現象はやっぱり神とか鬼とかが原因に違いない! ってなるのだわ。

 そういえば平安貴族は「の、呪いじゃー!」つって失神するように死ぬイメージが強い。あんまりグロくなくて素敵。やはりやんごとなき身分ともなれば、遺体の状態もそこそこ雅でなければ。


 自分で時代小説書くとしたらグロくも痛くもないやつが書きたいな~。ミスティック幽玄なファンタジーがいい。

 いいなっつーだけで今のところネタもないし書く予定はミリもないです。

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