無条件で褒めてくれるロボット

@giupi

無条件で褒めてくれるロボット

主人公「ねえ、聞いて! 今日、仕事で私の意見が採用されたんだ!」

ロボット「それはとても誇らしいですね、さすがです、主人公さん」

主人公「すごい! 最近流行りの『無条件で褒めてくれるロボット』を買ってみたけど、これは自己肯定感上がる! これをモチベーションに仕事頑張ろう!」


~数日後~


ロボット「そんなことができるなんて、主人公さんは優秀なんですね」

主人公「えへへ、そうかな~。それにしても、このロボットの維持も結構お金かかるな~。沢山褒めてもらうほどお金がかかるからどんどんお金が無くなっちゃうよー。もっと仕事頑張らなくちゃ!」


~数日後~


主人公「また仕事で失敗しちゃったんだ......頑張ってるのに......」

ロボット「成功しようと努力してる時点で素晴らしいことですよ」

主人公「私、もうロボットがいないとダメだよ~」


~翌朝~


主人公「わ、寝坊しちゃった! 遅刻して会社に行くの嫌だな~」

ロボット「気にしなくても大丈夫ですよ。休みたい時は休んでも、いいんですよ」

主人公「それもそっか~」


~数日後~


主人公「どうしよう! 遂に会社クビになっちゃったよ~! こんな時はロボットに慰めてもらわないと!」

ロボット「......」

主人公「あれ、ロボット喋らない......。そうか、維持費が払えなくなっちゃったから褒めてもらえないんだ! 褒めてもらえないと生きていけないよ~。とりあえず仕事探さなきゃー。あれ、この仕事、会社の福祉として『無条件で褒めてくれるロボット』の無償提供してる! これはここに勤めるしかない!」


~数か月後~


主人公(今、私たちは皆平等です。私たちは皆平等に働き平等に褒められています。この国の人々は皆、『承認欲求』を持っていました。それは皆平等な感情なのです。我が社長はその最も平等な感情を利用し、最も平等な社会を生み出しました。社長が最初に生み出したのは『無条件で褒めてくれるロボット』。この国の人々は皆それに依存していきました。そして、国民は全員、まさにかつての私のように、この会社に就職したのです。今、この国は会社という仮面を被った一種の独裁国家となっています。社長はあのロボットを通じ、今や全国民を統べる支配者となりました)

ロボット「今日の働きもとても素晴らしかったです。生きていて、社会に貢献出来て偉いですね」

主人公「ちゃんと毎日褒めてもらえて、私とっても幸せ!」

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