FileNo.10050 --セントラルエルム市・冒険者ギルド--

セントラルエルム市・冒険者ギルドでの機人ミリア対策会議の議事録


場所:会議室

家具:会議用長机、パソコン、プロジェクター、スクリーン

座席:5


人物定義 ギ長(

 名前:エル

 役職:ギルド長

 職業:弓士

 役割:アタック

 性別:男

 年齢:2,513

 種族:エルフ


人物定義 勇者(

 名前:アレル

 職業:勇者

 役割:オールラウンド

 性別:男

 年齢:32

 種族:ヒューマン


人物定義 賢者(

 名前:フローラ

 職業:賢者

 役割:サポート

 性別:女

 年齢:■■

 種族:ヒューマン


人物定義 無職(

 名前:バーツ

 職業:無職

 役割:オールラウンド

 性別:男

 年齢:30

 種族:ヒューマン


人物定義 詩人(

 名前:レーナ

 職業:吟遊詩人

 役割:サポート

 性別:女

 年齢:■■

 種族:エルフ


ギ長「君たちがやられると思わなかったよ」

勇者「アレは普通の機人ではありませんでした」

ギ長「犠牲者は?」

勇者「全員死亡しましたが、蘇生できたのは35人でした。灰になった時点で家族が蘇生を拒否したのが10人、肉体を消失したのが5人でした」

ギ長「そうか、君たちと違って精霊の祝福を得ていない者たちの蘇生は難しいな」

勇者「もっと早く到着していれば……」

ギ長「いや、私たちは最善を尽くした。それは、間違いない。君が悔やむことではないよ。それで、どれだけの戦力を集めれば倒せる?」


勇者「正直に言って、10年前アーキテクチャ機国を封鎖する為に集まったメンバー全員でも倒せるかどうか怪しいと思います」


ギ長「それほどなのか?」

賢者「私も同意見です。具体例を挙げると魔法で強化したエリスの額をハンドガンで撃ち抜いていました。魔術の詠唱が速すぎて聞き取れませんでしたが、貫通力を上げる魔術を使っていたと思います」

無職「だとするのなら、その強化魔術は、従来のものより強力だという事になるな」

賢者「その通りよ、少なくとも9倍は強力な魔術を使ったことになるわ」

無職「しかも、一瞬でだろ?」

賢者「そうよ」

無職「なるほどね」

ギ長「バーツ。君を呼んでおいて正解だったな」

無職「弱点を探ればいいんでしょ?」

ギ長「すまないが頼む。秩序の神に選ばれ『竜殺し』と同じく蘇生にリスクのない君たち『死を超えた者達』にしか頼めないことだ」

無職「まあ、俺たちにしか出来ないんじゃ受けるしかないな」

詩人「でも、機人とはいえ、こちらから攻撃しなければ何もしないんでしょ?」

勇者「それは、セントラルタワーに着くまでの間だけだ。あの場所に行ったら他の機人と同じく人間を襲うようになる」

詩人「そうなんだ……」


無職「それで、そいつは今、何処に居るんだ?」

ギ長「監視させている魔法使いの報告によれば、すでにこの街に入ったらしい」

無職「なんで、なんの騒ぎも起こってないんだ」

ギ長「人間に擬態している」

無職「マジカヨ!姿は把握できてるのか?」

ギ長「ああ、写真を撮ってある。これだ」

無職「うわ、すげぇ美人だな。倒すの気が引ける」

詩人「なーに?こういうのが好みなの?」

無職「好みって訳じゃない。美しい美術品を壊したくないのと同じさ」

詩人「まあ、そうよね。あなたは恋愛に興味ないもんね」

無職「束縛されるのは嫌なんだ」

ギ長「ちなみに、正体はこれだ」

無職「おおう。ザ・機人って感じだな、こっちの方が倒しやすいな」

詩人「まあ、そうね。戦闘用の機人って感じね」


無職「それにしても、街に入っても人間を殺さないとなると、アレルの報告は正しいという裏付けにもなったわけだ」

ギ長「その通りだ。念のため、城門には厳戒態勢を敷いていたのだが、アレは暴れることもなく素直に検問を受けて街に入ったよ。それに、サウスエルムの街でも民間人に被害は出ていない」

無職「こちらの戦力にビビっておとなしくしている可能性は?」

勇者「無いと断言できる。ここに居る僕たちを含めて簡単に殲滅できるだけの強さを持っている」

無職「やれやれ、気の重い仕事だな」

ギ長「まあ、全滅したら蘇生の費用は冒険者ギルドが持つ、気楽にいってくれ」

無職「そのいってくれって、死んでくれって意味じゃないですよね?」

ギ長「おいおい、そんなこと思っていても言う訳ないだろう?」

無職「いや、思ってるのかよ」

詩人「仕方ないでしょう。『竜殺し』が全滅した相手なんだし」

無職「まあ、そうなんだけどな」

詩人「それで、フローラはアレの弱点に心当たりはあったりする?」

賢者「今のところ思い当たらない。けど、連携技は回避できなかったし、地震の影響は受けていた。倒せる可能性はあると思うわ」

詩人「そっか、じゃあ私の歌が通じるか試す価値はあるわね」

無職「超古代文明の兵器オメガの動きを完璧に封じた『ラブソング』の出番か?」

詩人「同じように効くと良いんだけど」

無職「まあ、色々試してみよう」


ギ長「試すのは構わないが、出来るだけ人目につかない場所で戦ってくれ」

無職「なんで?」

詩人「民間人を不安にさせない為に決まってるでしょ」

ギ長「その通りだ。こちらから危害を加えなければ、今のところ無害だ。街に機人が居ると知れたらパニックが起こる。出来るだけ、犠牲は少なくしたい。だから、あちらが攻撃してこない間は、こちらも人目がある場所では攻撃をしない」

無職「分かった。人目のない所で戦いを挑むよ」

ギ長「すまないが、よろしく頼む。あと、もう一つ注意事項がある」

無職「もう一つ?」

ギ長「ああ、この機人、女の子を連れていたそうだ」

無職「なんでだ?」

ギ長「それが、分からないから注意してほしい」

無職「注意しろと言われても、正体も分からないしな」

詩人「そうね。機人の可能性もあるのよね?」

ギ長「ああ、そうだ。10年前は子供型の機人も居たからな」

詩人「問題は人間だった場合ね」

ギ長「その通りだ。人質の可能性がある」

無職「機人が人質を取るのか?」

ギ長「前例は無いが可能性は捨てきれない」

無職「人質だったら助けないとな」

ギ長「難しいとは思うが頼む」

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