第66話 猟奇的なレイラ




何が起きたのか解らないが、少し街の人達が温和になった気がする。


それでも、何か起きたら心配だから、狩りや討伐は俺とエルザとレイラのうち1人がアイカとロザリアを守り…二人が討伐や狩りをする…そう決めた。


まぁ完全に過剰な戦力だが…用心した方が良いだろう?


そして今日は俺とレイラで討伐に行く日だ。


「リヒトちゃんは凄くお人よしですね?」


ちなみに『リヒトちゃん』と呼んでいるのは『英雄リヒト』と呼ばれるのがなんだか固く感じたので止めて貰ったら…こうなった。


最初『ご主人様』『ダーリン』と呼ばれ掛かったが、結局『リヒトちゃん』で落ち着いた。


レイラは魔族、それもかなり上位の存在で長い間生きている。


レイラからしたら俺は...まぁ相当若いのだろう。


本当の年齢は教えてくれない。


聞いたら『うふっ、女に年齢を聞くのは無粋ですよ?』と目が怖かった。


見た目で言うなら俺からセクシーなお姉さんに見える。


だから、色々考えて俺は『レイラ姉(ねえ)』と呼ぶことになった。


そうしないと『お姉ちゃん』そう呼べと煩いからだ…



「まぁ、あの二人は幼馴染だからな?」


「本当にもう、甘いわよ!抱きもしない女の世話をするなんて意味ないでしょう?」


言っているのはマリアンやリラの事だ。


確かに彼奴らだってもう大人だ…傍からしたら、まぁ可笑しいよな。


「俺の好みじゃないし、俺の親友の元彼女だから、そういう対象じゃないな」


「そうね…それは良く解るわ、真の巨乳好きのリヒトちゃんには、まぁ、あの二人じゃ満足しないですね…まぁ私達みたいじゃなくちゃ無理ですね」


「あははっ、そうだね、レイラ姉…」


「あら? そっけ無いですね…可能なら『お姉ちゃん』の方が嬉しいんですけど?」


「レイラ姉…これで勘弁してよ」


「仕方ないですね…それで手を打ちますか…」


◆◆◆


暫く歩くと狩場にきた。


今日の獲物はワイバーンだ。


俺やエルザだと1羽狩るのが精いっぱい。


最も、これはS級だから出来る事だ普通は、A級ですら数人で無ければ狩れない位の強敵、それが亜竜、ワイバーンだ。


◆◆◆


「さぁ、頑張って獲物を狩りますか?」


「そうだな、なっ馬鹿…」


普通は群れから外れている一羽の物を狙うのだが、レイラは岩場の巣に突っ込んでいった。


嘘だろう?


あそこにはどう見ても20羽以上のワイバーンが居る。


そのワイバーンがレイラに襲い掛かってきた。


「あっははははははっは…死ね、死ね、死ねー-っ」


「…」


「悪いけど…私の生活の為…あはははははははははっ!あはははははっ、ワイバーンは全部狩る、たかが鳥の癖に襲い掛かってくるな…死ね、死ね死ねー――――っ! きゃははははははははっあははははははっー――」


ワイバーンは鳥じゃない、亜流とは言え竜だ。


それがこうも簡単に狩られている。


本物の竜以外、空じゃ敵なし…そう言われていたのに。


それが、目の前で駆逐されていく。


「…」


「きゃははははははっ、あははははははっ、死ね死ね死ねー――っ」


まるでバサーカーだな。


下手に傍に居ると巻き込まれるから離れて見ていよう。


「…」

凄いな、元四天王であそこ迄強いのか、あのワイバーンがタダの鳥の様にしか見えない。


大きな鳥がバサーカー状態の美女に残酷に殺されていく。


「グワァァァァァァッ」


「あはははははははっきゃはきゃはきゃはははははははっ」


血だらけで笑いながらワイバーンを狩るレイラの姿は正に魔族その物だった。


ガイアが勇者パーティを解散してくれて良かった。


元四天王で此処迄強いなら…『死』その運命以外何も見えない。


俺が巨乳好きで良かった。


そうでなければ『死んでいた』


多分、これでもレイラは本気を出していない。


その証拠にサキュバスクィーンなのに羽を出さずに、姿も人間のままだ。


やっている事は魔族だが…姿は人間だ。


「あはははははっきゃは! あれ?」


「レイラ…もう全部死んでいる」


20羽を超えるワイバーンが全滅していた。


逃げる事も出来ずにレイラに殺されていた。


「リヒト…ちゃん…」


なんだか目が悲しそうに見えた。


怖がられた…そう思ったのかも知れない。


だけど…俺の巨乳好きは尋常じゃないのかも知れない。


ワイバーンの返り血で血だらけになったレイラが、凄く綺麗に見えた。


「レイラ姉…凄く綺麗だ」


「リヒトちゃん…そうかな? お姉ちゃん嬉しいわ」


そう言ってレイラが抱き着いてきたが、感触は最高だが…見た目はうん、スプラッタで臭いは…生臭い血の匂いしかしなかった。










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