第21話 【閑話】貧乳聖女の伝説 ①
私の名前はレイス、フランソワ.ド. ジョルジュ。
伯爵家の次女に生まれたわ。
私の姉のカトリーヌは私と違いお父様に可愛がられているの。
お母さまは私を産んで早くに死んでしまったから、私には味方はいない。
お姉さまと私は異母姉妹でお姉さまのお母さまとお父様は恋愛の末結ばれたのよ、だけど、お姉さまのお母さまは病弱でお姉さまを産んですぐに亡くなってしまった。
そして後添いになったのは私のお母さま。
お母さまとお父様は政略結婚、そこには多分愛は無かった。
お母さまが生きていた頃はまだ良かったのよ。
だけど、お母さまが亡くなってからは…もうお父様の目に私は映っていないわ。
貴族だからお金に困ることは無い。
平民と違い、誰もが羨む裕福な生活を送っているわね。
だけど、私の周りには…私を愛する人は…いないわ。
その理由は解っているのよ。
この家にいる女性はお姉さまも含み『皆、同じ特徴があるの』よ!
多分、お母さまは、その特徴が無かった為に『愛されなかった』のよ
そして、その特徴は…私にも無かったの。
自分で言うのもなんだけど、これでも顔は良い方だと思うわ。
体はスレンダーだし、綺麗な赤髪だし、目も大きいしそれなりに美貌には自信はあるの。
だけど、その特徴が無いから、私はお父様に愛されなかったのよ。
『本当に悔しい』
お父様は…『大きなお乳が好きなのよ!』
多分、女性を見る時には顔より先に胸を見る位…そしてそれはジョルジュ家の男全員にいえる事なの。
『大きな胸は正義』
そんな事を言い出す位に『大きくて立派なお乳が好きな人間たち』なのよ。
だから、この家の使用人は『大きなお乳の女』ばかり…胸が小さいとどんなに優秀でもお父様が雇わないのよ。
しかも、お父様が『大きなお乳』が好きなせいで、メイドはメイドで全員が全員、胸の大きさに誇りを持っているのよ!
本当にふざけているわよ。
執事や男の使用人もお父様の影響のせいで『大きなお乳が好き』なのよ!
この館には大きなお乳の女とそれが好きな男しか居ないの!
頭が可笑しいんじゃないの!
それで、メイドが使用人の癖に私を馬鹿にしてくるわけ。
「お嬢様の胸は見事な大草原ですね!」
「そのお胸はまるで少年の様ですわね!」
「微乳ですね」
そんな事ばかりを、聞こえる様に陰口を叩くのよ!
私はお嬢様なのよ!
お父様に言いつけたら…
「はははっ確かに大草原で少年みたいな胸じゃないか? レイスも貧相な胸だという自覚をした方が良いぞ…」
笑いながらそれだけよ…
使用人が自分の娘を馬鹿にしたのに…怒りもしないのよ!
『あり得ないわ』
私だって、私なりに頑張ったのよ!
メイドから教わった通り『胸の大きくなる体操』もしたし『揉みもしたわ』
牛乳だってお腹が下る位飲んだんだから。
それでも私のお乳は『大草原のまま』だったのよ。
仕方ないじゃない!
どんなに努力しても『大きくならない』んだもん。
何時しか私は大きなお乳を見る度に呪うようになったのよ。
『垂れてしまえ』って…
本当に呪ったわけじゃ無いわ…
だけどね、大きなお乳なんてこの世から居なくなれば良い。
そう私が思うのは仕方が無いでしょう。
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