7話 探索
俺とルカは交易都市カルアに隣接するホロウの森へとたどり着いた。
ここは俺がこの世界で目覚めた場所だ。
ルカに案内されていた時は気づかなかったが、ここもゲーム中では何度も訪れた場所だった、
この森はトロール族の拠点と隣接していることもあり、王都や都市から派遣された冒険者や騎士団との小さないざこざは絶えなかった。
しかし近年ではそういったいざこざも減り、カルアの街に駐屯している騎士団のパトロールも少なくなった。
そして祝祭や式典などが王都で催される場合、駐屯戦力は最小限に抑え、騎士団が王都へ帰還することも増えたのだ。
その結果、警備が手薄となった日輪歴500年の記念日に、カルアの街は攻め滅ぼされたというわけだ。
俺は精神を集中し、スキルをイメージする。
自身を中心に一定範囲内の魔力痕を検出できるスキルで、予想通りいくつかの痕跡がほんやり光るように浮かび上がる。
俺たちはそれを追って森深くへ歩を進めた。
「あった、魔術印だ。」
そこには獣人が仕掛けた魔術印がそこかしこに散りばめられていた。
俺は注意しながらいくつかの魔術印を解除していく。
「シエルすごい、こんな検知スキルや解除スキルも使えるなんて。」
「そんなことないよ、細かい魔力制御は得意なんだ。」
あんな肉弾戦を繰り広げておいて繊細キャラを演じるのはどうかと思ったが、そういうことにしておく。
「それにしてもこの魔術印、トロールのものじゃないわね。」
「うん、ゴブリン族のものだろうね。」
「でもどうして?ここはトロール族がなわばりとして管理してるはず、獣人間で中立に近いゴブリン族がなわばりに罠を仕掛けるなんて……。」
「確かなことは、この森はすでにゴブリン族が仕掛けた罠が張り巡らされている。これを手引きしているトロール族もいるはずだよ。」
そして俺の予想が正しければ、冒険者ギルドを通して関与している内通者がいるはず。
「あまり時間がない、他にも仕掛けられた場所がないか捜索しよう。一緒に来てくれる?」
「わかったわ。」
俺一人で捜索することも考えたが、今ルカを一人で行動させるのは危険だろう。
もし万が一昨日の連中に見つかりでもしたらと思うと気が気ではない。
今は共に行動した方が、俺が守ることもできるはずだ。
俺は揺れる彼女のお尻を眺めながらそう考えていた。
そのあとも森を探索しいくつかの魔術印が仕掛けられた場所を記録すると街へと帰還した。
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