義妹の意外すぎる性癖

 自室で気持ちを落ち着かせ、しばらくするとドライヤーの音が響いた。どうやら、菜枝も風呂から出たようだ。


 いかん、また風呂の光景が浮かんできた。


 少しでも忘れる為に、俺はスマホを操作してネットの世界へ。……ネットは良い。動画サイト、ニュースやSNSで個人のつぶやきとか日記が見れるし、まとめサイトとか見ているだけでも時間を潰せる。


 そうして俺はネット徘徊はいかいを続けていた。



「――ふぅ、もうこんな時間か」



 深夜零時。

 明日は学校もあるし、そろそろ寝ないと差し支える。就寝の準備を進めていると、扉をノックする音が響く。


『兄さん、いいですか』

「お、おう。入っていいぞ……約束だもんな」

『失礼します』


 まだ慣れていないのか他人行儀に入ってくる菜枝。まだ一日目だから、仕方ないか。実際、俺も慣れていないし。


 身構えていると、寝間着パジャマ姿らしき菜枝が部屋に入ってきた。黒のシャツにスポーツ系ショートパンツだった。腕も足も大胆に露出して……一言で可愛かった。


「な、菜枝。それが普段の寝間着?」

「そうなんです。わたし、こういう方が寝やすいので」

「なるほど……しかし、陸上部みたいだな。健康的でいいと思う」

「ありがとうございます、兄さん。……その、寝ますよね」

「あ、ああ……寝ようか」


 俺の部屋には折りたたみベッドが設置されている。シングルなので本来は一人用。でも、がんばれば二人寝れないこともない。

 菜枝は小さいから……大丈夫だ。


 だが、冷静になれ俺よ。

 そういう問題か。


 菜枝と一緒に寝るとか、確実に間違いが起こる。俺の中の獣がい出て来て暴走するだろう。


 やっぱり俺は床で寝よう。それが一番だ。


「兄さん?」

「そのベッドは菜枝が使ってくれ。俺は床で寝る」

「え……でも」

「いいんだ。気にしないでくれ」


 カーペットの上に寝転がり、俺は背を向けた。……これでいい。これで。


「だめですよ、兄さん。わたしとの約束でしょ」

「だけどなぁ……」

「大丈夫です。今日一緒にお風呂に入ってよく分かりました。兄さんは、わたしのことを大切にしてくれるんだって」


「当たり前だろ。まだ初日だけど……義妹なんだからな」

「嬉しいです。とても嬉しい。けれど、わたしは……もう我慢できないんです」


「え? 菜枝、なにをするつもりだ」


 菜枝が息を荒げて向かってくる。



「兄さんの腹筋……美味しそうだったので……舐めても……いいですか」


「へ……俺の腹筋!? って、菜枝! なにを、俺の服をめくって何をォ!?」


「ぺろぺろさせてください……」


「ちょ、おま……あ……あ、あ、あああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」



 ・

 ・

 ・


 * * *



 ――朝を迎えた。


 菜枝をベッドに寝かせ、俺はなんとか床で寝ることに成功。だが、ある意味で重症を負った。心の傷と言えばいいか――いや、ご褒美には変わりないのだけど。


 義妹は、俺の腹筋が大層気に入ったらしい。というか、性癖だったみたいだ。


 昨晩、俺は菜枝から襲われてぺろぺろされてしまった。義妹はえっちで変態だった(誉め言葉)。


 鍛えていて良かったぜ……。



 早く起床した俺は、パンとコーヒーを作った。時間的にそろそろ菜枝が起きてくるかな。アラームを設定していたはずだし。


 しばらくすると眠たそうに目を擦る菜枝が現れた。



「おはようございます、兄さん」

グーテンモルゲンおはよう、菜枝。ボケボケじゃないか。髪もボサボサだぞ」

「……兄さん、どうしてドイツ語なんですか」

「細かいことは気にするな。それより、学校だ。早く朝食を食べて向かう」

「朝食? あ、兄さんがこれ作ったんですね」

「料理はそれなりに出来るって言ったろ。ほら、食べて」


「良い香り。まるで喫茶店みたいです」

「まあ、親父が喫茶店のオーナーだからな」

「そういえば、そうでしたね。子供の頃にお世話になりました」

「今はもう別の姿・・・だけどね」


 そう、今はもう違う。

 俺が今こうしてアパート暮らしできるのも親父のおかげでもあった。あれから喫茶店は大きく成長し――全国に店舗を置くチェーン店に成長していた。


 俺はそんな社長の息子。

 だから不自由のない生活が送れていた。


 親父はきっと菜枝の事情を知って、俺の元へ送ってきたんだろうな。幼馴染だったし、俺の初恋でもあったと口にしたこともあったから、覚えていたんだろう。



★★★

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