【旧版】守骸伝 ―転生猫娘、風水僵尸と邂逅ス―
犬丸工事
序章
0、秘された記録
長い長い時間をかけていた。
包帯にくるまれた指が、丹念に丹念に
十分な濃さになるまで、十分な量になるまで。その時間はゆうに
薄暗い室内は
ここで
かわって手に取られるのは、ひと振りの小刀である。
やはり包帯にくるまれた掌へと当てられて――一気に引かれる。溢れでた鮮血ごと拳のうちに握りしめて、
取り上げられた筆が、たっぷりと血墨を混ぜて絡める。
傍らに開かれた『
縦に一度、再び筆を硯に浸けてもう一度。三度、墨を含ませては消す、消していく。
その動きは丁寧だが、
消失をまぬがれた文字列たちは、こういった事象を物語っていた。
今は昔、
混沌の海に浴したる花、我らが
一条の悪龍きたりて、四界を枯らし三界を呑む。悪行、
時の天帝、これを誅す。もって
【太く厚い墨蛇が二条、神経質に短冊の端々を縦断している】
龍が目は
かくて
『とある書庫に秘された文書』
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