異世界百鬼夜行 異世界転生は妖怪を添えて

珈琲飲むと胃が痛い

プロローグ

 窓を開けると見えるのは月明りに照らされた銀世界。

 外に向け吐く息はしんしんと降る雪と同じように白く、少し窓から出した顔を寒さが突き刺す。

 

 ぶるりと身体を震わせ窓を閉め、暖炉の前に置かれたロッキングチェアに腰を掛けゆらゆらとゆらす。

 ふと聞こえた物音に部屋の入口を見れば、愛孫の小さな顔がこちらを見つめている。

 手招きをし、近寄ったその軽い身体を膝に乗せればぐらりと想像より大くチェアが揺れ、孫の成長に頬が緩んだ。


 小さな手に握られた小さな本、大きな瞳が読むようにせがんでいる。

 それは有名な童話、過去の大きな戦争を基に作られた物語。

 柔らかな髪を一撫でし、ページを開く。

 勇者と魔王の戦い、そして勇者と魔王が共に手を取り戦った争い、剣と魔法に彩られた戦いの物語。


 これはそんな物語が語られる不思議な世界のお話。

 

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