第5話 心がチクチクする

「このカフェのパフェ美味しいね」


そんな言葉を言いながらミクは笑みを浮かべる。

そのミクを見ながら美鈴は、良かった、と言いながら笑顔になった。

俺はその姿を見ながらコーヒーを飲む。

それから見ていると美鈴が、私、二人と仲良くなってお友達を増やしたい、と言ってきた。


「うん。.....でもそんな事をしなくても私は.....美鈴さんを友人だって思っていたよ?」


「そ、そうなの?」


「うん。だって.....昭仁の友人は私の友人だから」


「.....優しいんだね」


「だってそうでしょ?普通は」


美鈴は、そう.....なんだ、と呟きながら俯いた。

それから顔を上げて、ゴメン。ちょっとお手洗いに行ってくるね、と立ち上がる。

そして立ち去って行く美鈴。

俺はその姿を見ながら、ゴメン。俺もトイレ行ってくる、と立ち上がった。

ミクは、うん、と微笑みを浮かべる。



「.....どうしたの?昭仁.....」


「.....すまん。付けていた訳じゃないが.....ちょっと話がしたい」


「.....う、うん。何?」


「.....お前何か隠してないか?」


俺がそう指摘すると。

美鈴はビクッとしながら肩を震わせる。

そして、何も隠してないよ?、と言ってきた。

俺はその姿を見ながら、嘘だな、と言いながら美鈴の目をジッと見る。


「.....友人に隠し事は通用しないぞ」


「.....!.....そ、そういうところが.....」


「.....え?」


「わ、私は.....」


言いながら美鈴はジワッと涙を浮かべる。

それから唇を噛んだ。

俺は???を浮かべながら美鈴を見る。

すると美鈴は、高嶺の人だね、と美鈴が呟く。


「.....高嶺の人?」


「私.....ミクさんと友人になるの.....うん。良かったって思ってる。でも胸がチクチクする」


「.....ああ。成程な。.....そういう意味でチクチク.....」


「違うよ」


俺はその言葉に目をパチクリする。

そして美鈴を見ると。

赤くなって俺を見ていた。

チクチクするってのは.....ミクさんが居るから、と。

そういう意味の分からない事を言ってから席に戻って行った。


「.....どういう意味だ?.....理解が出来ない.....」


俺は考えながら顎に手を添える。

しかし何も思い浮かばす。

そのまま席に戻る事にした。

そして席に座るといつものミクと美鈴が居た。

美鈴は何か吹っ切れた顔をしている。


「.....じゃあ改めて親友として宜しくね。美鈴さん」


「うん。こっちこそ宜しくね。ミクさん」


「.....」


結局この喫茶店では何も分からない。

だけど.....まあそれなりにでも。

何かが良くなったのならそれはそれで良かったと思う。

思いながら俺は.....そのまま見つめていた。



「今日は楽しかったね」


「.....そうだな。.....何だか久々に楽しめたよ。お前と一緒に」


「.....そ、そう?」


「.....ああ。楽しかった」


赤くなるミク。

そして俺を見てくる。

俺はその姿を見ながら住宅街を歩く。

もう直ぐ家だな、と思いながら。

するとミクが、ね、ねえ、と言ってくる。


「.....その。.....スーパーでお買い物しない?」


「.....それは俺の食材か?良いよ俺のなんて寄せ集め.....」


「だめ!そういうのは無しだよ」


「わ、分かった。まだ少し時間があるしな」


「うん。付き合って」


そして俺達はスーパーに向かう事にした。

それから業務用スーパーに入ると。

そこに妹が.....居た。

茶髪のラフな服装で俺を見ながら、あれ?にーちゃんそれは.....、と言ってくる。


「.....まさか朔子(さくこ)ちゃん!?」


「そうですよ〜。この何ヶ月かでイメチェンですー」


「朔子。何やってんだお前は?」


「買い物に決まってるでしょ。夕食の」


「.....ああ。.....お前の番だっけ?」


「そうそう」


それから見ると。

冷食ばっかだった。

それはそうか。

俺達はマジに料理が下手くそだもんな。

思いながら見ていると。


「えっと。朔子ちゃん。今度料理教えてあげようか?」


「え?ミクお姉ちゃんが.....?」


「.....うん。.....私が教えてあげる。どうかな?」


「じゃ、じゃあ教えて!有難う!!!!!」


キラキラした目でミクを見る朔子。

それから朔子はミクに料理を教えてもらう事になった。

その時間は明日の放課後、という事になる。


だが.....その放課後は金曜日であり。

まさかあんな事になるとは.....誰が思ったものか。

想像が出来なかった。

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