第EX7 打ち上げ
俺は、ぼんやりとした頭で天井を見上げる。
剥き出しの鉄筋コンクリートを伝う配管やダクト、それに照明やスピーカーを吊り下げる為に、天井から垂らされたいくつものワイヤーが段々と暗転していく。
トリである俺達の出番は終わり、仲の良かったバンドやお世話になったバンドに前座をお願い出来て良かった。
数年前までなら赤やオレンジと言った。暖色系のライトに照らされながら撤収し次のバンドが入るのだが、俺達はそんな粗雑な扱いをされる立場には居ない。
もうライブハウスから出演を依頼される立場になって早や数年。
高校時代のようなうだつが上がらないバンドではない。
食っていけるとはとても言えないが、ライブをすれば収益は入るし物販もはける。
そりゃあ確かに、中村たちが増長するのも理解できる。
だが、今日のライブで俺はハッキリと理解出来た。このバンドには、ムードメーカーが居ないのだ。
元々俺も中村も岡本もMCがクソほど苦手だ。
それを面白可笑しく弄っていたのが、アイツだったんだ。
このバンドを存続させるためには、技術力はもちろんの事お客様に満足してまた来たいと思ってもらう必要がある。
俺達は機材を撤収し、打ち上げと称して近所の居酒屋に入る。
チェーン店という事もあり、店の座席数は多く今日ライブ行ったバンドの多くが参加している。
座敷席を俺達で埋め尽くす勢いだ。
中村はこういうのが好きみたいだが、俺にはどうも金の無駄にしか思えない。
俺は大して好きでもない。薄いサワーをチビチビと飲みながら、鳥の唐揚げをつまむ。
「だれだぁぁあああああっ! 唐揚げにレモンかけた奴はぁぁあああああっ! ぶっ殺してやる!」
などと品の無い事を叫んでいる中村のフォローに回らず。後輩バンド達に世話を任せる。
俺にとっては、追悼ライブなんだから静かにしてほしい。と言う気持ちがあるもののそれがエゴでしかないと理解している。
三浦は居心地悪そうにしているのかと思いきや、見ず知らずの後輩たちを顎で使ってふんぞり返っている。
どんだけ面の皮が厚いんだよ……
後輩たちも何とか、メジャーレーベルと繋がりのある俺達に尻尾を振って、プロデューサーを紹介して貰おうと必死で愛想笑いを受かべ、奴隷のような奉仕をしている。
俺の所にも後輩たちが来るが、張り付けたような笑みを湛えている奴は居ない。
「坂本先輩。ドラムの人死んだって本当ですか?」
声を掛けて来たのは特に俺が可愛がっている後輩で、
大体女の子が一人だとメンバー全員と関係を持つか、惚れられてバンドが空中分解するのだが、そのボーカルはレズビアンらしく男には一ミリも興味が無い事が、バンドが存続している理由らしい。
「ああ。過労死だ。お前らもバンドとバイトのダブルワークで身体壊すんじゃねぇぞ?」
「俺はまだ大学生なんで大丈夫ですけど……」
実はそう言って話を切り出した。
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【あとがき】
要望だされたから前世パート書いてるけど明らかにPV下ってるんだよなぁ。やっぱりザマァ書くのが苦手すぎる。
次作品書く時のためにもザマァパートはしっかり練習しておかないといけないなぁ~
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