第27話士官を増やそう下
「無論理解しているつもりです。ですから騎士の数は抑制し、騎士としても働けるような強兵……将校の育成を最大目標にします。
こうすれば予算は抑えられる。それが難しければ従属している寄り子の貴族家に、騎士の就職先を斡旋し仲介手数料を得ればいい。幸い盗賊や魔物の被害によって、騎士の数が足りていないところは山のようにあるんです。兵を売っても良いし、貸してもいい。強力で安定した兵力を提供すれば顧客は付きますよ」
兵が魔物や盗賊、他家や他国の兵士や騎士と自分の領地以外で戦闘し練度を上げる事が出来き、コストもレンタル先がほぼ賄ってくれるのであれば、これほど美味い話はない。元の世界で世界中に軍事拠点を持つアメリカは、民意でベトナム戦争やイスラム諸国と戦争を開始し、国力の消耗と民意の喪失により「世界の警察」の自認を改め撤退した。
しかし、この世界に民意があろうとも権力者にまでは中々届かない。人道的支援などの美談を吟遊詩人に歌わせれば、民衆など容易くコントロールできる御し易い時代だ。我ながら良いアイディアを思いついたものだ。
「なるほど……冒険者の真似事を公爵家の兵士ですればいいという事か……」
貴族と言うのは良くも悪くも外面を気にする。騎士や兵士に冒険者の真似事をさせるのは、心理的なハードルが高いようだ。
不味いな……土木工事を兵にさせる積りだったんだが……そのハードルは更に高そうだ。だが工兵は自分で食い扶持を稼ぐことが出来る近代軍隊で唯一の兵科だ。ここと練度上昇をアピールポイントにしてプレゼンを続けよう……
「えぇ。兵士は騎兵に比べれば、消耗品としての認識が強いですが彼らも領民……損耗率を減らすのは訓練と教育そして実践経験でしょう。先ずはこの町の
先ずは教育に金を使わせ軍の強化を図る。
古代ローマにおいても元老院の推薦や先代皇帝血縁者よりも、結局最後にモノを言うのは言葉でも民衆の支持でもなく軍隊……武力だ。
公爵が継げなくてもせめて、男爵や子爵ぐらいを勝ち取るためにも、武力を高めておくことはほぼ必須事項だ。
「先ずは5年だけ投資してやる……」
よし! これで最低限の期間を得る事が出来た。
あとは騎士に持ち回りで稽古を付けさせ、文官に文字の読み書きと簡単な計算を教えさせれば、将校が出来上がる。ハングリー精神丸出しの野獣の様な奴らだ。絶好のチャンスを逃がす奴は要らん。全員騎士にでもなってくれれば、目に見えて成果を出す事が出来る。
「ありがとうございます!」
「ただし条件がある。
【一つ
「足りません」
まだ抜け道が多い。他家のスパイや天涯孤独の者や移住者を縛るルールが欠如している。諸国を旅してきたとはいえ、文官の仕事は俺が生まれた頃からしかしていない。のだ多少の穴は俺が気付ける限り埋めなければいけない。後の細かい所は騎士と文官で埋めてもらうしかないか……
「な!」
俺の言葉で父は驚きの声を上げる。
「先ほどお父様が言われた「当家に士官しない場合は、教育にかかった費用を全額請求する」と言う言葉ですが、「親または保証人に請求する」の方が良いかと、人と言うモノは自分に向けられる悪意や害意には耐えられるものですが、家族や知人友人に向けられる悪意には耐えられらないそうです【連帯保証人】を立てさせるべきでしょう。
そして移住してきた領民に制限がありません。
ここに制限を設けるべきかと……そうですね……国王陛下と公爵家当主であるお爺様……そしてお父様に誓いを立てさせましょう。これを
もし他家がウチの家臣だからと言っても「はぁ? 俺らに仕えるって宣誓してるんだけど? だからこっちで始末するな?」と言えます。他家や叔父様達が放ったネズミ対策には有効かと……」
闇金ウシ〇マくんでみた。借りた人の周囲を追い詰め返済させる手口と、アメリカの星条旗に誓わせ国民と認める手法を中世ヨーロッパ風にアレンジしたものを採用する事にした。一番怖いのは情報を抜かれる事だ。
他家……特に父の兄弟にマネされては、文官としての実力と実績に優れたあちらがより有利になってしまう。コレだけは避けなければいけない。
本当は新選組(壬生浪士組)に習って局中法度を交付したいのだが……まぁ五年後でもいいか……
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