4章73話 ドライアドの森9

「そうか、あの血の竜は雪が吸った気持ち悪い魔力を吐き出すために撃ったんだね。私たちはそれを目印にしてここに来れたんだ。ありがとう。」


「偶然でも助けになったのなら良かったです。あ、でもあの血の竜空に撃っちゃって良かったんですかね?」


「問題ないだろう、もう空中で崩壊してただの魔力に戻っていると思うが。」


「なら良かったです。アレが誰かに当たったりしたら危ないですから。」


「そう言う心配が出来るなら大丈夫だよ。さて,一連の事情は分かったところで雪、本来の目的を果たしたらどうだい?もっとも本来の目的以上のものを既にもらっているようだが。」


「あ、そうでした。アーデ、私は貴方の枝をもらいにここに来たの。できたら少し分けてもらえないかな?」


『少しと言わずいっぱいあげるよ?枝に根に葉っぱ、あ,そうだこれもあげる!』


そう言ってアーデが取り出したのは光は失っているもののあの白い枝だった。


「え、いいの?これ大事なものなんじゃ、、、」


『加護をあげる人はあまり居ないし1から作っても問題ないの。それより雪には貰ってほしいな?これに念話すれば私に通じるようにしとくから!』


「それなら貰っておくよ。ありがとう!」


「おいおい、マジかよ。雪といると退屈しねぇなぁ!雪それの価値分かってるか?それは【神樹の枝】って呼ばれる幻の枝だぞ?」


「そうなんですか?」


「それを使って作る武器はそれ自体が使い手に合わせて成長するって言われてる。魔剣なんかの使い古して使い手の魔力によって変質した剣と違ってずっと変化し続けるようになるんだ。種からやがて大樹になるようにな。」


「凄い!良かったね!雪ちゃん!」


「そんな凄い素材だったなんてありがとう!アーデ!」


『うん!あ、そうだ他の人にも枝あげるね。友達の証!』


「わ、いいの?私たちが貰っちゃって枝無くならない?」


『まだまだあるから大丈夫!今日はこんなに友達ができるなんて夢みたい!』


「私だけじゃ物足りなかったって言うのか〜〜?」


『ティルは外でないでしょ!話すことが動物と私の森のことなんだから!』


「ぬぐっ!わ、私だって外に出るもん!アーデみたいに引きこもりじゃないし!」


『何をー!』


「さて、目的は達成したわけだが取り敢えずここで野宿するしかないな。流石にこれからティルの家に行くには時間がかかり過ぎるからな。」


「ティル!ここで野宿することにしたから動物に離れるよう言っておいてくれ!」


「わひゃったー!こにょなにすんにょよー!」


『私を引きこもりって言った罰よ!私は引きこもってるんじゃなくてここを守ってるの!』


「よし、あっちは問題ないな。雪は料理はできるか?」


「一応できますよ。そんな難しいものじゃなければ。あ、綾には頼まないでください。食べ物全て灰燼と帰しますから。」


「ひっどいなぁ!アレから上達したって!」


「いや、私は怜の家で作ったカレーを忘れてないからな。なんで具材も味も大丈夫だったのに加熱で焦がすんだよ。魔力と同じで火力調節下手なの?」


「今なら魔力が程よく無いから焦がさないもん!」


「調節下手なことは訂正しないのかよ。司は普通に料理できるよな?手伝ってくれ。」


「わかったよ、にしても具材はどうするんだよ。アイテムボックスなんて高価なもん誰も持ってないぞ?」


「それに関しては私が何とかする。私の鍛治領域には食材も入っているからな。それを使おう。」


「何て便利な能力なんだ、、、。」


「そういえば怜には聞かないのかい?料理とか得意そうな気がするんだけど。」


「あ,その私は、、、」


「ヘパイストスさん、いじっていい人とダメな人っていると思うんです。だからこの話はやめましょう?」


「なんだい、すごく気になるんだが。」


「怜に作ってもらったらものすごいダークマターが出来ただけですよ。料理なんてしてこなかったから慣れてないだけだと思いたいですね。」


「司ァなんで言うかなぁ。ほら怜落ち込んでるよ?」


「いえ,大丈夫です。確かにすごく傷つきましたが私は料理することに慣れてないだけですので司に手伝ってもらって美味しいご飯を作ります。」


「え,もしかしてあのダークマ

「食べてた感想おしえてね?」


「ぷっあははははは!自業自得だよ!観念して手伝ってあげなよ?」





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