4章71話 ドライアドの森7
結界の近くまでやってみると中にドライアドと思われる人影が見えた。
「これはドライアドを守るためのものみたいだな。それにしても私を連れ去ったのに何もしてこないのか?」
雪は結界に触れてみる、すると弾かれるか壁のようになっていると思っていた結界をすり抜けた。そうはならないと思っていたため雪は思いっきり倒れるように結界の中に入ってしまうのだった。
「いたた、、、まさかすり抜けるとは。ん?もしかして苦しんでるのか?まさかこれをどうにかして欲しくて呼んだのか?」
雪は苦しそうに震えながら縮こまっている葉っぱで出来た服のようなものを着た女性を見た。おそらくドライアドだろうと考えた雪は連れてこられた理由がコレなのだと気がついた。
「うーん、外傷があるように見えないから中なのかな?【魔力感知】、、、!うわぁなにこの気持ち悪い魔力!?ドライアドの魔力とは違う魔力がドライアドを侵食するように動いてる。これに対抗するために頑張ってるのか。」
『、、、、』
ドライアドは何かを発したが雪には聞き取れなかった。しかし、聞き取れなくても言った言葉は理解するには簡単だった。
「助けて、、、か。よし!私も頑張ってみるか!待ってて、すぐに助けるから!吸血をすぐにやってもドライアドとこの気持ち悪い魔力が混ざってどっちも吸収しちゃう。まず引き剥がさないと。【魔力操作 授血】」
【魔力操作 授血】とは紅が得意としている技であり自身の血を少量流し込み中から治療する回復魔法の一種とされている。雪は戦う術だけではダメだと一週間の修行の間に紅に頼み教えてもらったのだった。
「まさかこんなところで役に立つとは思わなかったけど習って良かった。よし、ある程度分離できた。これなら【吸血】ふぐっ!?気持ち悪い!こんな魔力要らない!全魔力解放!【竜砲】!」
いつの日かオーバーヒート仕掛けた時に使った技を上に放ち吸血で吸った魔力もろとも打ち出した雪は倒れる。
その虚げな視界の中に自分を抱きかかえてくれる姿を見て意識を失うのだった。
◆
時は雪が連れ去られた少し後に遡る。
「ヘパイストスさん!魔力回復完了しました!いつでもいけます!」
「俺も大丈夫です。」
「よし、では作戦を決行するぞ。まず綾が最大火力の【火球】を放つ。その際ティルがエルダートレント達を動かなくさせ、空いた穴から森に突入。その際の守りは司に任せる。」
「「「はい!」」うん」
「よし、では綾始めてくれ。」
「魔力全解放、【圧縮】【火球】いきます!雪ちゃんを誘拐する森なんて焼きこげろぉぉぉおお!!」
「【精神感応】【精神無我】」
綾が放った火球はエルダートレントに確実に着弾し地響きを起こした。それによりクレーターが出来たがエルダートレント達の隊列に穴は空いた。遠くで雪の悲鳴が聞こえた気がしたが追いかけることに集中していた為聞き逃した。
「全員身体強化で突入する!綾は私が背負って行くから気にせず走れ!」
「す、すぃません、ヘパイストスさん。ご迷惑おかけしますぅ。」
「何気にするな、そういう作戦だったし良い火力だったぞ?」
そうして五人は森に突入するのだった。
◆
「ぅにゅう、ここは?そうだ、ドライアドの魔力を吸ってそれから、、、倒れたのか。うん?私誰に膝枕されて、、綾?」
目を覚ました直後でぼやける視界をよく目を凝らしてみると膝枕してくれていたのはドライアドだった。
「のわぁ!びっくりした!あ、良かった治ったんだ。ん?なに?この枝を触れば良いの?」
ドライアドが差し出した白い枝を触る雪。よく見ると少し発光しているように見える。すると雪の体に光が灯った。
「え!?なになにこれ!『助けてくれたお礼。』ん?今のは、、、もしかして君?」
『うん。私をあの気持ち悪い魔力から助けてくれたから。お礼したかったの。それは【樹精霊の加護】私と念話できるだけじゃなくて私の枝とかを使った物の性能を上げられる。』
「ありがとう!それにしてもあんな気持ち悪い魔力どこでもらってきたの?」
『少し前この森に来た人?に流し込まれたの、、。私は嫌だったんだけど無理やり流し込まれてとても苦しかった。だから助けてくれてありがとう!』
『助けられて良かったよ。それにしてもよく私が助けられると思ったね?」
『魔力吸った時に私の魔力も少し吸われて体少し楽になったから、、、もしかしたらと思ったの。それに結界をすり抜けた。』
「ん?あれは通してくれたんじゃ無いの?」
『あれは私に害を与えようとしてる人を弾く物だから信用したの。それに、、、魔力が美味しかったから///』
「私の魔力の味なんてあるの!?え、待って私魔力の味で信用されたの!?」
『魔力の味は心が綺麗な人ほど美味しい。貴方は熟成されたワインの味。とっても美味しかった。』
「あー色んな人の血飲んでるからなぁ確かに熟成されたワインって言われると納得かも。それに確かに味って言われるとわかるかも。綾と司の血の味って違うし。あれって魔力の味だったのか。」
『!やっぱり貴方も味がわかるのね!しばらくティル以外話し相手がいなくて退屈だったの!お話ししましょう!』
「おおう、急に饒舌に。私の名前は血桜 雪。貴方は?」
『私はアーデ。さあ、女子会しましょ?』
そう言った瞬間周りには花が咲き地面から根が生えてきてテーブルになり紅茶まで出てきた。
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