4章69話 ドライアドの森5

「一応戦闘になるかもだから全員のできることを確認するとしようか。」


「確かにそうですよね、私は【血液操作】【吸血】【鬼化】ですね。多分血液操作と鬼化は分かると思うので省きますが吸血は魔力を血液を介して奪えます。一応自分のものにしないなら血液を介さなくても奪うことはできます。」


「私は【魔法使い】です。火属性と水属性それから風属性の魔法を使えます。」


「私は【予知】と【未来予測】です。危険回避など斥候として使ってください。」


「俺は【龍鱗】だ。全身に龍の鱗を纏える。壁役にしてくれ。」


「怜が斥候、雪と司が前衛で綾が後衛か。良いじゃないか。パーティーとしてすごくバランスがいい。私とティルは後衛だから頼りにしてるよ?2人とも。」


「「はい!」」


「ところでヘパイストスさんは何か攻撃手段はありますか?ないのとあるので私の動き方が変わるので。」


「大丈夫、【鍛治領域】にストックしてある武器を射出するから。」


「へ!?そんなことできるんですか?」


「うん、でもあまりやりすぎると魔力が無くなるから多用は出来ないかな。魔力で武器を作るから。一応本物でも出来るけどお金がね、、」


「私はお友達に頑張ってもらうくらいしか出来ないかな。でもあまり無理はさせられないから前衛は無理なの。」


「つまり怜が危険を知らせて私と司が対処、後ろからヘパイストスさんと綾が援護、でいいですか?」


「ああ、それが一番いいだろうね。ティル、お前はドライアドに語りかけ続けてくれ。何か返答があったらすぐに伝えてくれ。」


「分かったわ。」


「よし、では森に入るとするか。」



「一応だが木に触れてドライアドから返答がないか試してみるか。」


ヘパイストスが木に触れようとした瞬間怜が叫ぶ。


「みんな後ろに下がって!!何か来る!」


すぐに雪たちは後ろにジャンプをする。すると雪たちが立っていた場所にものすごい勢いで何かが叩きつけられた。


「あれは、、、枝?」


すぐに攻撃の犯人を突き止めたのはティルだった。


「みんな気をつけて。敵はトレントだよ!しかもエルダートレントよ!」


「エルダー?何か違いがあるんですか?」


「普通のトレントは木の魔物なんだけどエルダーはドライアドの使い魔なの。本人の枝とか根とかを使い魔にしてるからドライアドの護衛であると同時に分身でもあるの!」


「分身、、、つまり魔力を吸ってくると?」


「本体よりは格が落ちるけどね。」


「ティル奴らは何か言ってないのか?」


「ちょっと待ってね、、、無理。森に誰も入れないことだけ命令されてる。話し合う余地がなさそう。でもこちらから何かしなければ襲ってくるつもりもないみたい。」


「しかしドライアドがどうなっているのか確認するには森に入らなければ、、、仕方ない。彼らには申し訳ないが通らせてもらおう。」


そうしてエルダートレントと雪たちの戦いが始まった。


「綾!風属性で一気に数を減らしてくれ!火と水はダメだ!良くない気がする!」


「うん!魔力を吸われても問題ないくらいでっかいのいくよ!」


「おい、多少デカくても奴らは魔力を吸収するぞ!?」


「【ウインドカッター】ぁぁぁあ!いっけぇ!」


「おいおい!なんだこの魔力量!並の魔法使いの比じゃないな!これならいけるか?」


綾が放ったウインドカッターは数体のエルダートレントを切り刻み更に奥に進んでいく。

だがエルダートレント達は枝を集めてウインドカッターに向けて突き出した。するとあの綾のウインドカッターを霧散させ吸収する。


「マジか。アレを吸収するのかよ。あの枝欲しいなぁ!」


「そんなこと言ってる場合ですか!?トレントの枝が来ますよ!」


ものすごい勢いで敵を排除すべく枝を伸ばしてくるエルダートレントに押され始める雪たち。


「まずいまずい!アレに捕まったら終わりだぞ!」


ヘパイストスは武器を能力で取り出して捌きティラを守っていた。綾はひとつひとつ枝を撃ち落としていたがどんどん数が増えていた。怜は持って来ていた薙刀で切っていた。


「雪と司は大丈夫か!?」


「俺は何とか龍鱗で防げてます!雪は」


「私も大丈夫です!鬼化すれば避けられます。それに私の魔力吸収とトレントの魔力吸収が相殺しあって吸われないみたいです!」


「それぞれ身を守れてるみたいだな。だがどうする。このままだとこちらがへばるのが先だぞ。」


しばらく持ち堪えた雪たちだったが早くも瓦解する時はきた。


「【ウィンドカッ、きゃあ!」


「「綾!」」


魔力量が厄介だった綾を先に潰してしまおうとエルダートレント達は綾に攻撃を集中したのだった。


「かはっ、けほっこほっ!何これ!【ウインドカッター】!切れない!?」


綾は枝で吹き飛ばされた後木で出来た檻に閉じ込められていた。


「まさかドライアド本体の根か!?ティル!ドライアドは何か返答はあったか!?」


「ううん、まだ何とも!でもエルダートレント達は綾さんに何もするつもりないみたい?多分一番火力がある綾さんを封じたかったんだと思う!」


「だからといってそのままには出来ないよ!【簒奪刀】!」


雪は枝を切りつけたように木の檻にも斬りかかる。だが予想に反して雪の刀は木の檻に触れてしまった。


「嘘!私より魔力吸収が強いの!?」


すると雪を狙うようにエルダートレントが枝を伸ばして来た。


「やばっ!」


魔力を吸われ簒奪刀の発動が遅れた雪は自分もやられると思い衝撃に備える。

しかし、一向に衝撃がこなかった。


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