双剣の申し子——ブレイドアンヘル・オブディッセンバー
✴︎天音光✴︎
プロローグ
第1話 魔法少女ロゼリアル
『開け開け、散開の
桜吹雪に舞い上がりこの身を一輪の華と化す
そして舞い散る残響の一太刀
私は
『満たせ満たせ、深海の波動
渇ききった荒野を潤いで覆い尽くす
艶やかに、燦然と光り輝く群青の輝剣
私は慈雨の魔法少女、
『芽吹け芽吹け、慈愛の
全てを優しく包み込む若緑の
その麗かな音色を響かせ、加護を与えよ
私は若菜の魔法少女、
『
怒号の喚きは亀裂を生じさせ決壊する
大地を一振りで断ち切る鉄壁の大剣
私は
『
勇猛な獅子は赤き血脈に身を委ね
煌びやかに舞い踊る赤薔薇の双剣
私は
魔法少女の五人組は一斉に決め台詞を吐き、戦闘服に変身する。
結界の外から迫り来る大量のエネミーに立ち向かう、空中戦だ。
「こんなの、倒せるの……?」
世界終焉の
「嘘でしょ、さっきの群勢でもうおしまいじゃなかったの……!?」
紅の戦火で覆われた地上には、力を使い果たした一人の魔法少女が倒れる。
「私のことはいいから早く、行って……お姉ちゃん!!」
「……!!」
「分かった、未来。後は私たちに任せな、未来はよく頑張った、本当に偉い子だ———」
「お姉ちゃん、死なない…でね、この戦いが終わったら、また皆で、いつもみたいに遊べるよね……?」
「ああ、きっとできるさ。もう少しの辛抱だ、これが終わればきっと全て元通りだ」
託されたその思いを背に、戦場の空中へと飛び立つ四つの希望。
「うっ、さっきの代償が……」
“大崩壊”、結界は決壊し、この世界のエネミーはみな全て一斉に結界内に溢れ出した。
「でも、やるしかないんだよね……! 私たちなら絶対にやれる、魔法少女の私たちが、ここで諦めるわけにはいかないよ!!」
圧倒的な戦力差、どんな境地に追いやられたてしても
「そうね、ゆきちゃん。私たちが諦めたら、全部が終わっちゃうんだものね……!」
いつだって、優希のことを大切に思い、一番最初に
「おうよ。アタシも、もう目の前で誰かが死ぬのを見るのはごめんだ。だからもう、誰も殺させはしねえ、この双剣にかけて!!」
「この力は……歴代の魔法少女たちが私たちに力を分けてくれてるんだね……!」
それは、戦死した少女達の思いの結晶。
「そうだよ、今も皆が私たちを応援してくれているんだ。その願いに応えなくっちゃ!」
願いとは希望を背負うこと。絶望に勝って、思いを未来に繋ぐこと。
「みんな、安心して。五人の力を合わせれば、私たちはいつだって無敵だよ!!」
「そうです、ゆきちゃんは絶対に私が守ります。たとえエネミーであろうと、私のゆきちゃんは誰にも渡しません……!!」
そうして、戦いは最終局面を迎えた。
世界は終末の紅一色に染めあがり、魔法少女の五人はどんどん力を失っていく。
「さっさと、終われよ……!!」
その侵攻は、もうどうしようもないほどに絶望的な局面。
「
そして最終手段に手をかける、能力解放の力を使えばそれだけ強くなる。
「解封……!」
その二文字で魔法少女の輝きは増す。しかし、起死回生の力を使った分だけ。
「解封……!!」
——少女達は、それに見合った代償を受ける。
五人のあどけない少女たちは、自分たちの身を犠牲にして戦った。
「嘘っ……
あるのは血、血、血、腹を
『え、嘘……?』
それも束の間、口から吐き出される血。一人、また一人と命の灯火が消えていく。
『頑張れ、頑張れえええええ!!』
きっと勝てる、あんなに
完全に盛り上がった、勝利フラグだった。
きっと最後は神秘的な力で覚醒して、絶望に打ち勝ってくれると思っていた。
だが死んだ、みんな死んだ。
『ははっ、マジかよ……』
そう言って、耳に装着したイヤホンを外してスマホの画面を閉じた。
——そう、大好きだったアニメの最終回、登場キャラの全員が死んだ。
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