一学期編
1話:女性アバター!?
『皆、こんアザ~!!今日も配信やってくよ〜♪』
〈待ってた〉
〈こんアザ〜〉
〈こんアザ!〉
〈楽しみ!〉
〈こんアザ〜〉
〈アザーちゃんってやっぱり最初の頃より、元気になったというかより可愛くなったよね〉
『そうかな〜?』
VTuber始めた当初はこのアバターを演じていたからかなぁ…?今は現実でもこんな感じだけど…
まぁそんな事は気にしなくていいか!
配信楽しも!
――――――――――
「最終審査合格」
自分の部屋のベットで寝ながら漫画を読んでいると、スマホが鳴ったので確認したら画面にそう書いてあった。
「え…!? や、やったぁ!!!!」
僕(中村 るい)はVTuber事務所、エターナルの2期生に応募をしていたのだ。
エターナルは全員僕の推しVTuberで、毎日家に帰ったら何時間も配信を観てしまうくらい好きだ。なので、2期生募集のツイートを見た瞬間すぐに応募をした。
ただ本当に合格出来るとは思っていなかったのだが…
「僕がVTuberに… そ、それも今勢いにのっているエターナルの… 推しにも会うことが出来るってことだよね…」
合格したという実感が襲ってきて、まだ配信をしていないのに緊張してきた…
「い、いや! 今緊張していたら、配信で失敗するぞ! それに、ようやく悩みが解決するんだ… 気分上げていかないと!」
実は応募した理由はVTuberが好きだからだけではないんだ。皆にカッコいいって言われて男扱いしてもらいたいからである。
僕の身長は156cm、体重40kgで男なのにとても華奢。さらに、目がぱっちりしていて、ぷるんとした唇、みずみずしいシミ一つない肌でどこからどう見ても女の子にしか見えないのだ。
学校に言っても「るいちゃん!」と呼ばれていて女の子扱いしかされない。僕は男でカッコいいって言われたいのに!!
だから男性VTuberになって皆にカッコいいと言われたいのだ!
「そう思ったら気分上がってきた!」
盛り上がっていると、またもスマホが鳴った。
確認するとどうやら僕が使うVTuberのアバターと設定資料が送られてきたようだ。
「おぉ、もう僕が使うアバターって完成していたんだ。楽しみだな… どんなカッコいいアバターなんだろう!」
アバターのイラストを見てみると…
髪はロングの明るい青色で、瞳は薄い水色、柔和な笑みを浮かべていてとても優しそう。白色のワンピースを来ていて身長は僕と同じくらいでスタイルが良い清楚な感じの美少女だ……
「って……はぁ!?!?」
なんとイケメンな男性のアバターではなく、女性のアバターだった。
「ど、どういうこと!?」
最終審査合格の通知と共に送られてきた僕のマネージャーさんの連絡先を早速入れて電話をした。
「も、もしもし!」
「はい、何でしょうかるいさん。アバターの設定に何か問題でもありました?」
「い、いやそういうことじゃなくて!僕男ですよ!?何で女性アバターなんですか!?」
「それは貴方が可愛いからです」
「ッえ…??」
「るいさんはとても可愛らしい声をしていますからね。それに趣味も料理や裁縫など女の子っぽいですし。男性アバターで可愛い声より、女性アバターを使って頂いたほうがいいと思いましたので」
「そ、そんなぁ… 僕はカッコいいと言われたかったのに…」
「るいさんの声じゃ可愛いとしか言われないでしょうね。 女性アバターを使うと知って辞めたくなりましたか?ちなみに辞めるというのならこのアバターは捨てなきゃいけませんね。その人の声に合わせて作っているので。貴方の声は唯一無二です。」
「…」
そうだ…僕以外にも2期生に応募した人は沢山いる。その中から選ばれたのに、こんなことで辞めるなんて言えない… それにこのアバターが誰にも使われずに捨てられるなんてもったいない…
「や、やります!女性アバターでも…頑張ります!」
「分かりました。設定はもう確認しましたか?」
「いや、まだしてないですね…アバターを見てすぐに電話したので」
「そうですか。では確認してください」
〈設定〉
名前:清水 azure(アザー)
地球から遠い星のColorという世界に住んでいる女の子。Colorの世界ではアイドルをやっていた。仲間達と一緒に、地球のネットの世界を盛り上げにやってきた。
性格は名前のように誰に対しても優しい、怖がり。
得意なことは料理、裁縫、ピアノ、歌
苦手なことはゲーム、怖いもの
「か、確認終わりました…でもどうしましょう…僕、女性を演じることなんて出来ませんよ。」
「大丈夫です。初配信まで時間はたっぷりあるので通話で私と練習しましょう。声は元々とても可愛いですが、少し女性にしては低いですし、違和感も感じる部分がありますね。あとは、口調を変える練習をすれば完璧ですね。では、一週間後の午後8時から他の2期生の方達と通話をしますのでよろしくお願いします。」
「りょ、了解です」
そしてマネージャーさんと少し、女性の口調の練習をした後に通話を終えた。
「はぁ…僕が女性VTuberになるのか…」
不安な気持ちでいっぱいだったが、驚きと練習で疲れたこともあってすぐに眠りに落ちた。
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