ハーレムになりたい男VSハーレムになりたくない女

@NEET0Tk

プロローグ〜そして物語は動き出す〜

 僕は今、世紀の大告白をしようとしている。


 相手はこの学園で高嶺の花とも呼ぶべき人物。


 僕程度、他の男どものように無惨むざんに、無様に……散ってしまうだろう。


 それでも……


 それでも僕は!!


「好きです!!付き合って下さい!!」


 言った!!


 言ってやったんだ僕は!!

 

 心臓がドクドクと破裂してしまうんじゃないかと思うほど波打つ。


 返事はまだ来ない。


 数秒が数分にも感じられる程に長く……苦しく感じてしまう。


 そして遂に彼女はその紅の唇を開く。


「ありがとう、嬉しいわ。私もずっと前からあなたのこと好きよ。」


 な、なななななななななんということだ!


 まさかの両思い!


 お母さん


 お父さん


 息子の先立つ幸運をお許し下さい。


 ラーメンと祈りを捧げていると


「でもごめなさい、付き合うことはできないわ」


 え?


「ッ!?そんな⁉︎一体どうして⁉︎」


「どうしてって……そんなの決まってるじゃない」




――――――――――――――――――――――—





「ハーレム」


「え?」


「知ってると思うけど、僕ってラブコメとかの三角関係って苦手なんだよね」


 僕は何気ない雑談を親友である颯人に投げかける。


「いや初めて聞いたよ……てか何が嫌なんだよ。ああいった恋愛の駆け引き?的なやつがいいんじゃないのか?」


 なんだかんだで話に乗ってくれるいいやつである。


 だからモテるんだろうなぁ〜


 死ね!!!!!(情緒不安定)


「はんっ!!これだからイケメンは!!耳の穴に糞詰めて非モテになってよく聞け!!俗に言う三角関系には必ずといっていいほど負けヒロインが出る。主人公は両方好きだけど、結局はメインヒロインと付き合うんだ。僕は感情移入しやすいタイプだから、負けヒロインが振られた時……いつも思うんだ。辛い…悲しい…って」


 ハードボイルドな僕は哀愁を漂わせる。


「前半は何言ってるか分からんかったが、確かに振られるのは心にくるからな……お前の言ってることも分かる」


「そして負けヒロインと親友が付き合うとすごく嫌な気持ちになるんだ。これが世に言うBSS(僕が先に好きだったのに)ってやつかね」


 ハードボイルドなb…以下略


「振られるまでは分かるが、振っといて彼氏ができたのに嫉妬するのは意味がわからん」


「僕はBSS僕が先に好きだったのにNTR寝取りnRT理想気体の状態方程式も大嫌いなんだよ!!!」


「はあ」


「だが……天才である僕はみんなが幸せになる唯一の方法を見つけたのだ!!」


「凄いなぁ」(もう勝手に喋らせよ)


 ガバッ と立ち上がり、堂々と宣言する


「それこそハーレム!!!!負けヒロインが負けなくなり、主人公も嫉妬から逃れられる。ハーレムこそこの世の真理なのだ!」


 僕達以外誰もいない教室で木霊する声。


 僕の有り余る才気に当てられたせいか、颯人が口を呆けさせていた。


 ふっ 自分の才能が恐ろしいぜ。


 すると颯人は大きな溜息を吐き


「お前の嫉妬がなくなってもヒロイン同士が嫉妬するだろ。何故ここではヒロインに感情移入しない。後、親友が幸せになれてない」


「嫉妬なんか無くなるくらい幸せにしてやるんだ!!」


「ならメインヒロインがお前のことを負けヒロインいなくても大丈夫なくらい幸せにしてくれるぞ。そもそもだが、ハーレムなんて不純じゃないか?」


「失礼だなぁ。純愛だよ」(イケボ)


「は????????」(ガチギレ)


「すみませんでしたぁぁぁぁぁぁぁ」(ガチ土下座)


 心からの謝罪である。


 優しい人って怒ると何でこんな怖いのかなぁ〜。


「でも颯人。僕からしたら好きな人が複数人いて他を諦めて一人を選ぶなんて、そっちの方が不純だと思うんだ。本当に好きなら諦めない。みんなを幸せにする。それくらいの覚悟が必要だと思うんだ。それが、どれだけ茨の道でもさ」


 颯人が驚いた顔をして


「なるほど。それであんな暴挙にでたのか」


 暴挙?


 何の話をしてるんだ?


「何を不思議そうな顔してんだ」


 颯人はアホを見るような目を向ける。


「まさかあんなことをする人間がこの世にいるなんてな」


 そして颯人の言葉と共に


「4人相手に告白なんて」


 僕はあの日の出来事を思い出した。

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