15 三太が家にやって来た

「んみゅ……、にーたま、かれんねーたま……」


「起きたかい、小さなお姫様」


「よく眠れたかな?」


「んみゅう……」


 お昼寝をしていた三つ子の妹たちがもうすぐ起きるので、俺と小梅崎さんは三人が起きるまで傍にいた。

 まだおねむな様子の三つ子の妹たちは、俺と小梅崎さんに抱きついてくる。

 この小動物っぷりよ。


「あらら、まだ眠たそうかな? でも、いい加減に起きないとねー」


「んゅ……」


 小梅崎さんはやさしく陽愛に話しかけるが、かなり眠たそうだ。

 そんな時、由奈が俺のシャツの裾をくいくいと引っ張る。


「どうした、由奈?」


「にーに、おしっこ……」


「おっと、じゃおトイレに行こう。 小梅崎さん、陽愛と愛菜を連れてくれるか?」


「了解、私も後で行くつもりだったから、丁度良かったよ」


 由奈がトイレに行きたくなってきたので、小梅崎さんや愛菜、陽愛を連れてトイレに行く。

 俺の家のトイレは1階と2階の双方にあり、1階の方はドアを開けるとまず洗面所と三つのドアがあり、そのうちの真ん中がトイレになる。

 ちなみにトイレは洋式で、トイレの隣のドアの中には三つ子用のおまるも置いてあるようだ。


「由奈はあっちのほうのおまるでおトイレするんだ。 できるな?」


「うん」


「小梅崎さん、少し由奈を見てやってくれない?」


「おっけー」


 先に由奈がおまるを使って用を足す。

 小梅崎さんに一応、様子を見てもらうように頼んだ。

 ぶっちゃけ、三つ子の妹のトイレトレーニングは由佳里母さんか、保育士の人がやってるからなぁ。

 その間に、陽愛と愛菜の顔をタオルで優しく拭いていく。


「にーに、おわったー」


「じゃあ、おてて洗って由奈もお顔を拭こうか」


「うん」


 由奈がトイレを終えたので、済ませたものをトイレに捨てて、消毒する。

 その後も陽愛や愛菜もトイレを済ませ、その度に処理をして消毒もするのだ。


「じゃあ、私もトイレに行くね」


「ああ、済まないな。 俺と三つ子はリビングにいるから」


 三つ子のトイレを済ませた後で、小梅崎さんもトイレに入った。

 その間に俺と三つ子はリビングに行く。


「さて、お姉ちゃんが戻ってくるまでゆっくりしようか」


「うん、おにーたんだっこして」


「よーし」


 愛菜が先に抱っこをせがんできたので、そのまま抱っこをしてあげた時、『ピンポーン』とインターホンが鳴った。


「ん?」


「あれ、今インターホンが鳴ってなかった?」


「だな。 母さんと父さんは昼食の後、買い物に出かけてるからもうしばらく帰ってこないだろうし……」


「例の幼馴染だったり?」


「とにかく出てみる。 小梅崎さんは三人を頼むよ」


「うん、気を付けるようにね」


 色々気になったので、まず玄関にあるカメラを見る。

 そこには……。


「あれ、三太さんた?」


『おお、彼方。 突然訪問して申し訳ないでござる』


 三太だった。

 羽田かと思ったじゃないか。

 緊張して損した気分だ。


「もしかして、情報をくれた友達の方?」


「ああ、そうらしい」


「それだったら大丈夫じゃないか? 入れてあげよう」


「そうだな。 最新情報とか持ってるかも知れないしな」


 小梅崎さんが三太であることを聞いて、陽愛達と共に玄関に来た。

 まぁ、三太なら大丈夫と言う判断だろう。


「三太、すぐに開けるから待ってろよ」


『承知でござる』


「ござる口調なんだ、彼……」


「そうなんだよな。 でもいい奴なんだよ、きっと……」


 三太の口調を聞き、呆れ気味に嘆く小梅崎さんをよそに、俺は玄関のドアを開けて三太を中に入れた。


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